『世界を歩いて考えよう!』 ちきりん

社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!

社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!

「ゆるく考えよう」に続いて、また買っちゃいました、ちきりんの本。海外経験の少ない私にはすっごく面白い。でも、10回や20回、海外旅行をしたことがある人でも、留学したことがある人でも、この本で目からウロコが落ちる部分は多いんじゃないかと思う。ウイグルにもキューバにもケニアにもイースター島にも行ったことがある、という人は少ないだろうし、ひとつの地域でも、ソ連時代とロシアになってから両方とか、ベルリンの壁があったころとなくなってからの両方に行った人もそう多くはないだろう。

政府や大商人だけでなく、一般の人までもが外貨を欲しがる国があること。ひとくちに美術館といってもその成り立ちは様々であり、ゆえに展示方法にも大きな違いが出ること。伊東博文がお札から消えたわけ。同じ移民の国であるアメリカとブラジルの違い…。

どこをとっても驚きと発見の連続。そして、たとえちきりんと一緒に旅をしても、私はこんなにも多くを感じたり考えたりできないだろうなーと思う。機会が人の目を開かせることはもちろん多いけれど、きっと、「この人だからこそ見えた」ことも、とてもたくさんあるんだろう。それを、わかりやすい文章で、じゃんじゃん惜しみなく書いて、たった1,365円で読ませてくれる。ありがたいこと。

しかも、これだけ海外経験の豊富な人が、あとがきで「最近、海外旅行をする若者が減っているのを懸念する声をよく聞くけど、それは日本の若者が、日本が楽しい、いい国になったと思っているから。若い人がネット・コミュニティやゲームに時間を使うことが海外旅行より好きだとしたら、そこに次世代の可能性、すなわち未来があると彼らが感じとっているからだ。それをむりやり「海外に行け!」というのは団塊世代、バブル世代のエゴに過ぎない」とあっさり書いてるのには参った。そのあとには、「好きな人だけで楽しめばいいじゃん」と続くから、もちろん、選民意識もある人なんだろうとは思うけど、やっぱりこの人の「目」に私は脱帽する。