サクことば・10 「質問」

絵本の中の絵を次々に指さして、私に名前を言わせるようになったのが…あれはいつごろだったか。けっこう遅かった印象。1歳9か月とか10か月とか、それぐらいかな。その後、指をさしながら「これ」「これ」と言って、名前を言うようにせがむように。2歳を過ぎてからは、「これは?」「これは?」と助詞「は」をつける。絵本の中に限らず、見える世界のあちこちを指さす。すべて、「何=what」しかも名前を問うような疑問。

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どこ=Where を問いかけるようになったのは2歳を過ぎてから。「ママは?」 「あか(のブロック)は?」 二語でも言う。「サク の くつしたは?」 どこ、という言葉も明確に口にする。「しまじろう どこかな〜?」 「パパ どこ いった?」

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「どしたの」(どうしたの?)、「なんしてんの?」(何してるの?)も最近よく言う。たとえば見ていたテレビから離れて、家事をしている私のところに近づいてきて…といったシチュエーションで、出会いがしらに質問する感じ。

この場合、「大根切ってるんだよ」とか「雑巾でふきふきだよ」とか答えると納得するが、たとえば「鰯のハラワタをとってるんだよ」とか「洗剤を詰め替えてるの」とか、サクに理解できない語彙で説明をすると、何度繰り返しても「なんしてんの?」「なんしてんの?」と問われ続けるので、「ごはん作ってるんだよ」とか「おそうじだよ」とかいうふうに、大概ざっくり答えてるw

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いつ、を尋ねるのは当分先だろうな。語彙の問題というより、未来の時間の概念自体、まだないような。「あとでね」とは、子どもが親によく言われる言葉のひとつだと思うが、「あとで」と言って納得してくれたためしもないし笑  なぜ、どうして=why ももちろんまだ。

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「どっち」という選択は、遊びの中では理解している。たとえば両手の拳を握って差し出し、「どっちだ?」と、どちらにブロックを握っているか当てさせるような遊びを日常的にやっていて、尋ねるほうも答えるほうも両方できる。正解すると「あったりー!」とか「ぴんぽーん!」、不正解なら「ざんねん」とか「ぶぶー」と答える。けど、これらはまあ、フォーマット的に覚えているんだろう。

以前、「牛乳とお茶、どっち飲む?」と現物を見せずに言葉だけで尋ねると、目を白黒させていたが、最近はスムーズに「ぎゅーにゅー!」と答える。ただし、自分から(フォーマット化された遊び以外で)「どっち?」と尋ねられたことはない。

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サクからの問いかけでは、「できた?」とか「なくなった?」とかがあるな。サクのほうからいろいろ質問してくるようになって、会話・言葉のやりとりという感じがより濃くなってきた気がする。

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Q&Aのやりとりといえば、「牛乳飲む?」などというこちらからの問いかけに対して、以前は「ぎゅうにゅう のむ」または「ちがう」「いらない」など素直にYes / Noで答えていたのだが、最近といったら。私「牛乳飲む?」 サク「おちゃ のむ」 私「あ、お茶がいいの? お茶飲むんだね?」 サク「ちがう。ぎゅうにゅう のむ」 こんな、めんどくさーいやりとりが1日に何度も。

上空の飛行機チェックを欠かさないサクだが、ここでも、「おっきい ひこうきだ!」と言うので「大きい飛行機だね〜」と同調すると、「ちがうよー、ちっちゃいひこうきだよ」となぜかすかさず訂正。

とりあえず1回否定する、という回路が幅をきかせていて、すごく面白い。これも自在な意思表示を可能にするための練習の一環なんだろうな、という感じがする。

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あと、面白いのは、TPOによって断られる可能性のある要求を、「おかし たべる かな〜?」 「つぎは おえかき かな〜?」と、最初、妙に控え目な言い方をすること。にっこりと小首をかしげ、私の顔色をうかがいつつ、かわいく尋ねる。「え? 今は、お菓子、ないよ」と私が断ると、「おかし たべる」 「ねえねえ! おかし!」とだんだん口調は熱を帯びるのだが、言語能力に比して、段階を追った交渉術的なものがきちんと身についてるギャップがおかしい。