『平清盛』 第36話「巨人の影」 

重盛ぃぃぃ。大河ドラマたるもの、辛酸をなめたり非業の死を遂げたりして紅涙を誘う登場人物は多いわけですが、重盛、別格。こいつの視聴者コマシ度は異常!

ヘタレマッチョの義朝のときとはまた違った哀れ感。キャラ立ちに重きを置く脚本ゆえでもあるが、玉木宏にせよ窪田正孝にせよ、これ!という役者をキャスティングした時点ですでにこっちの完敗です。清盛もいろいろ艱難辛苦があったが、なんかあんまりかわいそうだとは思わないんだよね〜やっぱ松ケンの清盛にはなんだか強さがあるんだな。

ということで今週の重盛の受難。

・・・の前に、後白河さんが出家しました。断髪の時、髷を切って下ろし髪にした姿のなんとセクシィだったこと! そんで、松ケンといい、おまいら入道姿似合うな!  

てか、なんだかんだと、もっともらしい政治的理由をつけてたけど、もはやどう見ても「清盛が出家したんなら俺だって俺だって」にしか見えないっつーのが、歴史ドラマとしていいのか悪いのかわからんが、なんかすごい。「べ、別に真似してるわけじゃないんだからねっ」と誇示するために、わざわざ清盛がお世話になった延暦寺と敵対している三井の園城寺を使う徹底ぶりだよ。滋子を抱き寄せて「たいしたおなごじゃ」なんて持ち上げたのも、清盛ラヴを隠す煙幕。わざとらしい御機嫌取りですよね(違)。

そうそう、滋子ちゃんはついに院号宣下を受けて建春門院となりました。たま子ちゃんも得子さまも普通メイクだったのに、無理してマロ眉デビューせんでも…「偉くなった」表現したいんだろうけどさ…って、ん? 意外と似合うね。しっかし、どうも「並びなき権勢」に見えないんだよなあ。せっかく上西門院さまに続いて二度目の「院号宣下による殿上始」なんだから、あのときよりずっと人数を増やすとか、インテリアとか余興とかをゴージャスにしたらよかったのに〜。「男も女もおまえにゾッコン」っていうゴッシーの説明セリフが寒い。ただのウワバミにしか見えないもん…。お側近くに仕えてる健寿御前さまは妙に迫力だが。

さて、重盛の話に戻ります。ヒゲデビュー。童顔なのになぜか似合う。眉をグイーッと描いて、いい男ぶりです。モリモリ会議で棟梁の座につく姿に、「よくぞ立派になって…」と感無量。忠盛→清盛の代替わりに勝るとも劣らない感慨のような気がする。ってか、もはやかなり昔のことのようで思い出せない!

福原にて、義兄(その実、後白河の斥候)成親と酌み交わす。成親、いるよね、こういう仕事になると、妙な手腕を発揮する人って…! 「我らは(義理とはいえ)兄弟ではないか」って、それ、今の重盛をイチコロで落とすフレーズなのよーっ。グラッときた重盛が、つい本音を洩らせば、「君の親父なんてそもそも平家とは赤の他人だけど大棟梁じゃないか。君はその親父と一番長く一緒にいるんだから」だなんて、親身な答え。いるよねーっ、こういう、口から出まかせで相手を油断させる人ってーーー!

重盛が一時退席した瞬間、コイツ絶対なんか言うなんか言うと思ったよ。思ったけど、「小物め」ってオマエ!!! 成親の二枚舌、面従腹背の性格を示す表現だってのはわかるけど、そこだけ見た視聴者が、重盛をほんとに小物だと思っちゃうじゃないかー! ここは、「ふ、坊やだな」ぐらいにしといてほしかった!!! 小物に小物と言われる屈辱よ!!!

だって重盛って小物ってわけじゃないと思うんですよ!!!(と怒涛の擁護、開始) そら血のつながらない親兄弟といろいろありつつ平家の隆盛を築いてきた清盛は偉いですけどさ、重盛には清盛とはまた違った大変さがあるわけですよ! そら、重盛も既に30過ぎてるんだろうけど、清盛30歳だって、まだやっと顔を洗うようになったかどうか、ってころだったじゃないですか!

大きくなりすぎた一門は中に火種を抱え、外にもあっちゃこっちゃに敵を作りかけている。父ちゃんは我関せずで己の夢を追いかける一方、2年で征夷大将軍をムカイリ、じゃなかった秀忠に譲った家康もびっくりの大御所政治。みんながみんな、父ちゃんみたいに獣の血じゃないんです。これで胃をつぶしたとて、どうして責められましょうか。

と、必要以上に肩入れしたくなるほど、窪田くんの重盛はいたいけでかっこいい、って話でした。や、子どものころから賢く、平治の戦ではあの悪源太義平と渡り合うほど武芸に秀で、同時に公家もびっくりの美しい立ち居振る舞いを見せ、忠孝に厚く…でもちょっとまじめすぎるんだよね…という重盛像が、こうも見事に映像化されているのは本当にうれしい限りです。だから小物に小物って言ってほしくなかった(二度目)。

しかし、気にくわんことがあったら、何度でも山を下りてきて強訴する山法師たちといい、わがままに朝令暮改を繰り返す後白河といい、創作だったら「おいおい、無理くりすぎるだろ」と言いたくなるような展開が基本的にすべて史実ってのがすごい。流罪→復帰→解任などめまぐるしく処遇される臣たち、そして、強情な後白河と権謀家の清盛の板挟みになる重盛がかわいそう…。

梶原善よ、モリモリ会議でそんなに重盛を責めないで。時忠のひとりやふたり、何年か流罪になってもいいじゃない。流されたら流された先で、美食と美女に親しんで楽しく暮らせるのが時忠ってもんよ。むしろ彼がいないほうが、兄弟仲もスムーズにいくかもしれないし。

血気に逸って出陣を迫る後白河に、気力を振り絞って否を言い続ける重盛…ちょうかっこよかった…あれは宗盛あたりにはできない芸当よ、きっと…

結果的に義兄・成親を見殺しにする形となって帰宅した傷心の重盛。妻にして成親の妹である経子さんに頭を下げて謝ります。微笑んで「おつかれになったでしょう」と労ってくれる経子さんですが、「すぐにごはんにしますからね」と言って立ち去ってしまう。ここ! や、ごはんの用意を言いつけに行ったんでしょうが、立ち去ったところがポイントだよね! ひとり残された沈痛な面持ちの重盛。経子、行かないでー! 食欲なんて皆無なんです。そばにいて、ずっと抱きしめてあげていて!

集まった兵や一門の皆は戸惑っているわ、後白河や摂関家がズカズカ上がり込んでくるわで、四面楚歌になった重盛の前に、ふらりといった足取りで清盛がやってくる。まあ主人公の面目躍如といった形でかっこよかったですが、かっこよすぎてムカつきました。重盛の立場ゼロじゃないかーーーー!

清盛…まあいいとこもあったけどさ。福原のお屋敷の中が、いかにも建てたばっかりです、て感じですごくいい。美術さんや大道具さん、カメラさんなどなどスタッフいい仕事! 清盛が畳のベッドみたいなのに座ってるのもいいですね。策謀を巡らす清盛を映す角度によって、彼がずいぶん大物に見えるのもいい。そして清盛が大物に見えれば見えるほど、重盛がいたいけで見てらんなくなるという…。

えーっと、あとはなんだっけ。伊豆か。いつになくシビアな表情のお父さんに「ここには絶対近寄ったらいかん」と諭され、「わかったらすぐ帰りなさい」という指示にしおらしく頷きはしたものの、お父さんが垣根の向こうに消えた瞬間、覗き見の体勢に入る政子ちゃんがいいキャラすぎる! てか、時政があんなに足しげく頼朝を訪ねてる正当な理由って、作中で説明されたっけ? 単なる好意なの? それとも仕事なの? 京都(福原)と伊豆とは同じペースで時間が流れてるんですか? 数年にわたって頼朝は落ち込み続けているのかしら? 

で、鞍馬寺のエピソード、あれは、遮那王が瞬間移動のスペックホルダーであることを示したってことでOKよね?