『身ひとつの今が幸せ』 冨士眞奈美
- 作者: 冨士眞奈美
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/01/06
- メディア: 文庫
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いやー失礼しました、おみそれしました。著作も数多い冨士さん、俳句にしても、何十年という、くろうとはだしの腕前。俳号は衾去。衾=ふすま=寝間を、去る。思わせぶり〜。セクシィな意味なのかしらん?
雑誌に連載していたエッセイをまとめた本だから、特に自伝的な色あいを持っているわけでも、彼女の芸事に限っての叙述でもなく、肩ひじ張らずに身辺雑事を書いた…というていではある。しかしそれも何年も続いたものを読むとなると、進行中の仕事の話あり、若い日の思い出話あり、娘との日常生活あり、社会の大事件についての述懐あり、老母の入院そして逝去ありと、さまざまな角度から「ある女の半生」とでもいうべきものが立ちあがってくるようで、すごく興味深かった。文章の随所に添えられている、古今の俳人(本人も含む)による句や、歳時記を読むにつけても心地よし。
俳句って、やってみたいことのひとつだ。