『風のかなたのひみつ島』 椎名誠

風のかなたのひみつ島 (新潮文庫)

風のかなたのひみつ島 (新潮文庫)

椎名さんの多数の著作の中でも、この「かくれ島シリーズ」(と勝手に命名)が特に好きで、折に触れて読み返している。

さらさらと読めるもんだから、書いてるほうもさらさらと手すさびなんじゃないかと思ってしまう。いや、実際、シーナさんともなるとそうなのかもしれない。でも、旅をした先々のことをこれだけ活写できること、しかも「いかにもシーナ君だな」というような個性が、旅にも文章にもあるって、やっぱりすごいなと思う。プロだな。お金を取れる旅行記だよ、ほんと。

そんで、シーナさんて、一見よりずいぶん繊細、ナイーブなところのある人だと思うんだが、豪快で闊達なのももちろん事実で、つくづく人間って多面性のある生き物だよなーともあらためて感じた。