卯月の十二 : 古湯温泉(後)

●4月某日: 大浴場に朝っ風呂を浴びに行く。夫、男風呂の脱衣所でサクのおむつを外した途端、ジャーッとおしっこされたとのこと。壁を隔てた女風呂にも、サクがギャーコラギャーコラわめく声と、「うわっ、ちょっと待て」「だいじょうぶだから!」「ちょ、おまえちょっと落ちつけ」という夫の焦り声が交互に聞こえてきて、ほかのお客さんの手前、笑いをかみ殺す。朝食やチェックアウトでも、この宿らしいドタバタやグダグダ劇が繰り広げられ、こういうのがダメな人はまったく受け付けないんだろうが、私たちはもはや面白くて仕方ないし、そういう客は私たちだけではない。そう、この宿、名優・仲代達矢の定宿なのである。温泉王国たるこの九州で、もっとメジャーな温泉、もっと上質な宿はいくらでもあろうに、彼は毎年ここへ来て、律義にも写真と色紙まで残していっている。しかもその色紙に、「また来てしまいました…仲代達矢」なんて書いてあるのでおかしくてたまらない。また来てしまった、その気持ち、わかりすぎる!!!

フィギュア国別対抗、この試合って、いくらなんでも「興業」色が強すぎて、選手の負担でしかないんじゃないかしら…なんて思ってテンション低く見始めるんだが、結局、じっと見ちゃう。キスクラが盛り上がりすぎてるんだもんw  もちろんみんなシーズンの疲れはあるんだろうけど、つきつめれば、選手たちのモチベーションなくして、あそこまで盛り上がるわけないし。クレイジーなほどの観客たち(って、今回、日本のフィギュアスケートファンを称えたの、どの選手だったっけ?)によって、試合もとても充実したものになったように思う。整ったお面をものともせずにかぶりものをかぶりまくるジュベール、ホテルからもってきたみたいな揃いの浴衣で南無ーと手を合わせるイタリアンの選手たちと、その中央でお神輿ワッショイされてるカロリーナ、大輔のポーズを真似る日本のスケーターと、エキシビションの団体演技(?)での大輔と佳菜子のgdgdリフト…! 楽しませてもらいました。

夜、夫の作ったチャーハンをドカ喰いして、サクの腹がかつてないほど膨れる。「破れるんじゃないか、だいじょうぶか」と半分本気で言いあうレベルだった。