『リーガル・ハイ』 第3話

今回の法廷は、古美門パートと黛パートという2本立て。黛さんがぐじぐじしてる分、古美門さんはすがすがしいまでに圧勝かつバカバカしくて、どうもありがとうございました(笑)。ほんなこて、テレビドラマとして消費されてゆくだけなのがもったいないぐらいの堺さんの割舌芸です。全身の隅々にまでピシッと気合入りすぎてちょっと傾く、みたいなポージングが、いちいちマンガみたいに決まってるのも。

黛パートのほうは、絢斗さんの声が瑛太に似てる! という当たり前のことに今さら気づいて激しく興奮。フィアンセは『SPEC』でトゥービーコンティニュードの部下だった訛ってる刑事=載寧龍二さん、被害者はむちゃくちゃ久しぶりに見た感のある原田夏希さんでした。『篤姫』での瑛太の愛人、『イケパラ』での水嶋ヒロの昔の恋人、どっち以来かしら…。

古傷と化しているかつての恋心をオーバーラップさせながらの弁護は、黛にとってどういう位置づけになったのか、はっきりと語るわけではない脚本だった。

当時は推し量れなかった“好かれた側の人”の気持ちを知ることができた、というベネフィットもあったのかな、と思う。「嬉しそうな素振りをしながら、実は軽んじられていた」というショックしかなかった当時。それがB太*1の件をきっかけに、「軽んじたり迷惑がったりしたのも、また、素振りであって、実は好かれているという喜びも事実あった」ということがわかった、と。

ただし、保身のためにはその本心を決して認めず、能面のような顔を崩すことのなかった原田さんを見れば、報われない恋心を抱いた不器用者たちが救われたとはとても言い難い。

また、彼女を追いつめて真実を明らかにしようとする黛さんを止めて「もういい、俺はストーカーでした」と認めたB太の気持ちはいかに。愛する彼女の窮地を救ってあげたかったのか? あるいは、黛が最後の一手を打ってもなお、彼女は自分を頑なに拒否するであろうという想像に耐えられなくなったのか?

そして、それら一部始終を見た古美門。「訴訟に負けたわけではない」という建前を保てたからとはいえ、ラスト、黛を慰撫したのは、「勝訴のために本当に本気になった」黛を評価したからか? あるいは、彼女の乙女心・恋心・人間性といった部分で胸打たれる部分があったからか?

「この事件は、こうなんですよ」「このときの行動は、こういう気持ちからなんですよ」と、はっきりと定義しない。わざと語り残している。「金払いのいいクライアントに応えるのみ」という理念を掲げ、小気味良く展開させていながら、その実、ぜんぜん安易じゃないこのドラマ。ますます楽しみになってきた。

*1:絢斗さん、ネットではこういうふうにも呼ばれてるんですね。本人には失礼な話だろうけどうまいっ!と膝を打ってしまいました