『クウネルがゆく』 坂崎千春

クウネルがゆく (クウネルの本)

クウネルがゆく (クウネルの本)

図書館で借りました。大人のためのかわいい絵本。

性別も年齢も明らかにされないクウネルくん。おふとんが大好き。鏡にうつる自分と踊って遊んだり。プールの帰りの夕立ちに濡れてはしゃいだり。そんな、かわいいかわいいクウネルくんなんだけど、かわいいわ〜癒されるわ〜ってだけじゃなくてね。

ひとりで暮らしてるクウネルくんがこの町に引っ越してきたところから絵本は始まる。

郵便局(小さくてもいい)、
本屋さん(中くらいがいい)、
パン屋さん(もちろんおいしくなくちゃ)、
公園(芝生と噴水があれば申し分ない)

クウネルくんが必要とするものはちゃんとそろった町。クウネルくんは友だちに引っ越しのはがきを出す。ついでに、自分宛てのはがきも出している。「この町のことを好きになれますように」と書かれたそのはがきを見て、あたたかい飲み物を飲みながら、クウネルくんは「だいじょうぶ。もうずいぶんと好きになってるもの」と思う。

こんなクウネルくんは、たぶん子どもじゃない(ということは、絵本の後半でハッキリするのだが)。なんか、かわいいだけじゃなく、きゅんとくるんです。

絵をじっくり眺めながら読んでも20分もあれば読み終わるんだけど、何度読んでも味わいがあるってのも、良い絵本たる資格をみたしてるなーと思う。

おともだちのムクネルくんや親せきのマリカおばさんもすてきです。ハイクにも投稿したけど、マリカおばさんが昔、にっこり笑顔でチビクウネルくんにかけた言葉。ずっと覚えておきたいと思った。

友だち
すこしでもだいじょうぶ
本当に好きなことには
だれもがひとりで
むかっていくんだよ」