如月の九

●2月某日: この数日、「しったーとっと」と繰り返し唱えているサク。いかなる呪文か召喚魔法か不明。気になる。午前中、育児サロンへ。教室に入ると、「あら〜寒かったね〜おててが真っ赤〜」とボランティアの女性に手を握られ、サク号泣。警戒心強ェな! 帰り、ドラッグストアで“怒涛の決算赤札セール!”と銘打った値札を見て、食器用洗剤(詰替)ほか5品を買い、店を出たところで念のためレシートを見ると、むむむ。件の洗剤、普段と同じ値段で会計されてますよ? この店のこの品でこの仕打ちにあうのは実は2回目、ちょっと迷ったが引き返して事情を伺い、差額の30円を返してもらいました。お、お、俺は悪くなーーーい! 会社から帰ってきた夫、台所をのぞいて、「ん? この卵焼き、なんで失敗したの?」とのたまう。「別に失敗してないよ、これが私の実力。」と返すと、「なるほど」と納得していた。あ、あ、味には関係なーーーい!

●2月某日: 「そういえば、前は朝5時とかに起きて困らせてくれてたよね〜」なんて、寝顔を見ながら夫と談笑したそのわずか6時間あまり後、サク、やってくれた。昼間にパイを封印するようになって2週間ほど。パイの生産量はぐっと落ち、いざ寝かしつけや夜中に封印を解いても飲み足りない様子が見られるサクである。今朝もまだ暗いころ、ふえええんと泣きだしたので寝ぼけまなこでパイを進呈するが、「こっち、出なくなった。次はそっち。ありゃもう出ない。じゃまたこっち…」とでもいうように、右に左にまた右にと、あくせく移動しながら飲むこと15分、目が冴えてきたらしい。そのもそもそと動き続ける気配でこちらも目覚めた夫がトイレに立つと、「ん?」と首をひねってそれを目に留めたサクが、「起きる? もう、そゆ時間? 遊ぶ?」とばかりに布団から這いおりるとすっくと立ち上がり、てってって、と夫を追っていくではないか。時刻はまだ6時前。我が家の朝は7時からと決まっているんだよ〜! 本人はひと遊びして満足し、6時45分から二度寝に入ってしまった。