『仏果を得ず』 三浦しをん

仏果を得ず (双葉文庫)

仏果を得ず (双葉文庫)

まーた読んじゃった。再読も再読、もう6回目くらいな気がするのに、読み始めたら止まらなくって、読んでる間じゅう幸せって気持ちは変わらない。黒から白までさまざまな明度で書き分けるしをんさんだが、この小説は白いよね。

文楽という芸能に魅入られた登場人物たち。芸能とは、どのような種類であれ、愚かさや情けなさ・執着など、時代を経ても変わることのない人間のさまざまな業を表現するものであって、芸能に生きるということそれ自体が、深い宿業を負うのとイコールであると作者は捉えている。だけど、そんな健たちのなんと魅力的なことか! 朝ドラ『カーネーション』で、近藤正臣演じるところの三浦組合長が言う、「命は燃やすもの」ってセリフを思い出した。

しをんさん、これ続編書いてくれないかなあ。『風が強く吹いている』はさすがに続編は無理だと思うが(代替わりしたあとの陸上部が舞台なら、これも可能?!)、健と兎一郎が芸の真髄を究めていくまでの道は長いんだもの、まだまだネタはありそうなもんじゃない?!

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