『平清盛』 第1話「ふたりの父」

よかった〜、面白かったですね。ネットをあちこち見ていても、「ほっとした」「今年はいけそう」など、胸をなでおろしたような表現の感想が目立ちます。皆さんが昨年どれだけの辛酸を舐めさせられたのか如実にわかるってもんです。

なんといっても大河ドラマのオープニングテーマを最初に見るときの胸のドキドキといったらないですね。今年はといえば、一発で気に入りました。鮮やかな緑、幽玄な白拍子たちの舞、素朴な子供らの笑顔、そして大兜で弓を引く松ケン。ドラマが掲げるなんでもアリの「たくましい平安」というコンセプトがばっちり表現されてる。容易に主旋律を口ずさめなさそうな耳馴染みの悪さもかえって魅力です。これから毎週、聴けば聴くほど味わい深くなりそうです。

あと、例年、脚本や音楽、各種指導・考証などのスタッフクレジットのあとに、「出演」という2文字が出てから俳優クレジットに移っているんだけど、その「出演」が今年はないようで、これもちょっと新鮮でした。スタッフだろーが役者だろーが、制作陣に区別なし、て感じなのかな。

内容については、予告で松ケンが「罪なき民を泣かせて、武士など名乗れるか〜!」と大喝するセリフに一抹の不安を覚えていたんですが(リアルさのまったくない安易な平和主義・・・みたいなのって、大河の悪い伝統になりつつあるからね)、王家の犬さながら人を斬らねばならぬことに倦んでいた父・忠盛が「武士とは弱き者を守るもの」という信念をもつに到り、おそらくはそれが息子・清盛にも受け継がれていくであろうという流れがものすごく自然かつ説得力があって、さすがは藤本有紀だと思いました。「心の軸、体の軸」や「おまえは平氏に飼われている犬」も良かった。ほんと、大河はまず脚本だからね!

そう、中井貴一が本当にすばらしくてねぇ。最後の「犬」発言のようなド迫力はもちろんうまいんだが、小日向さんと話すとか、泣いた赤ん坊に乳を含ませる吹石さんを見て狼狽するとか、普通の芝居の細やかな自然さも、なんともいえずいい。若い吹石一恵と絡んでも少しも違和感がなかったもん(ミキプルーンももう50過ぎてるよね?)。忠盛、何ヶ月くらい出るのかな、3ヶ月くらい? 毎週楽しみだな。

そしてこちらは違和感ありまくりというか倒錯しすぎの伊東四朗、壇れい、三上博史の三角関係! そうよ、このインモラルが古代の醍醐味(韻ふんでみた)。第1回でこれやっちゃう度胸は気に入りました。てか、初回の割に暗かったよね、全般。視聴率はイマイチなんじゃなかろーか。主人公滅多打ちにされてるし。だが、そこがいい! その気概や良し! この暗い世界に松ケンがどんな光をもたらすのか楽しみ!

ざんばら髪、汚れた顔の中に黒々とした瞳を光らせた吹石一恵の透明感も、松田聖子なのに違和感がない!という祇園女御(着物が素敵)も、なんとも正体のなさそうな壇れいや、りょう・杏・國村隼の眉なし族も、怪物そのものといった伊東四朗も、ひとクセありそうな匂いをぷんぷん出してる豊原功輔も、複雑な母心を演じる和久井映見も、いい! なんかみんないいよ!