『妖怪人間ベム』 最終話

リアルタイムで視聴。クリスマスイブの夜9時ときたら、当然の如く酔っぱらった状態で見てたんですが。

結末に衝撃はなかった。さすがにハッピーエンドは想像できないドラマだったんでね。でも火に包まれる3人の絵はやっぱり悲しかったな。特に、その中にかわいいベロもいるってのは。いちお、ちびっこ男児を育てている母親なんで。

それでも、最後、人間を助けて、とか、人間を信じたのに裏切られて・・・という結果のあの劫火ではなく、自らの思いに殉じたという感じだったのが、個人的には救いだった。博士の失敗によって善意だけをもって生まれてきたのだとしても、人間を助けたい、信じたいというのは、彼らの芯からの切なる思いだとしかもはや思えないから。夏目刑事のエピソードを最終回の前に片づけてくれたのも好感でした。弱っちい視聴者としては、二重苦、三重苦を回避してくれてありがとう、と言いたい。

ベムベラベロ役の3人についてはこれまでも素晴らしさを書いてきたしほうぼうで言われてもいるけれど、北村一輝もすごく良かった。そら北村一輝だもん芸達者でしょうよ、とスルーされがちだけど、こういう役者がいるからこそ作品世界がピシッと引き締まるわけで、しかも、うまい役者はいろいろいる中でも北村一輝っていうキャスティングがよかった。あの濃い顔と、きっちり体全体で見せてくれる演技は、こういう漫画的・劇画的世界にむちゃくちゃハマりますね。

「有吉・マツコの怒り新党」ふうに「新・三大北村一輝」を私が制定するとしたら、2001年大河「北条時宗」での平頼綱*1、映画「皆月」でのアキラ役*2、そしてこの夏目刑事、ということになります。

ともあれ、原作への敬意は存分にありつつ、その虎の威を借るのではなく、今描きたいことをしっかり描いた秀作だったと思います。それぞれの役者にとって素敵なキャリアとして記憶されることになるだろうこともうれしい。

*1:時宗に目をかけられ貧しい生まれから出世していくが、主君に心酔しすぎてイッちゃってる狂犬のような御家人

*2:斉藤暁を殺しちゃうわ、ヒロイン吉本多香美をその情人であり主人公たる奥田瑛二の目の前で強姦するわ、やりたい放題のチンピラ