『カーネーション』 その1

今いちばんハマってるドラマ。毎日まいにち楽しみで仕方がない。どこから書いていいのかわからないくらい好きだ。名場面を挙げ始めたらいくら字数を費やすことになるやら知れぬ。

欠点はあるけど愛すべき、とか、好きな役者が出てるからとか、放送当時の自分の状況と照らし合わせて・・・とか、ドラマの印象には個人的な思い入れも加味されるものだけれど、そういうの抜きにしたら、今んとこ、朝ドラ史上最高レベルだと思う。てか、「朝ドラなんてヒマな主婦が見るもんでしょ」ってイメージ(若い頃は私もそう思ってました・・・)を根底から覆すクオリティ。

いやー、『JIN』がすばらしいとか、『それでも、生きてゆく』がすばらしくて終わったら気が抜けたとかいってたけど、間髪おかずに、またこれほどのものが見られるなんて、テレビドラマ界も人材豊富じゃないのよ実は。

すばらしいドラマの常としてすべてがすばらしいんだけれども、何をおいてもまずは脚本だ。毎朝、オープニングテーマの冒頭における「作 渡辺あや」のクレジットが、もはや燦然と輝いて見える。坂元裕二もさることながら、渡辺あや! この人のスケジュール、向こう3年は詰まってるに決まってる。詰まってなかったとしても、『カーネーション』放送開始以降、注文が殺到しているに違いない。

私が最初に知ったのは映画『ジョゼと虎と魚たち』。田辺聖子の原作を大胆にアレンジしてひりひりした青春物語を作りあげてトラウマレベルにまで感動させられ、『天然コケッコー』や『メゾン・ド・ヒミコ』でもリアリティと説得力にあふれた会話運びに独特の個性を感じてた。見てはいないけどNHKスペシャルドラマ『その街のこども』や、尾野真千子主演の『火の魚』が好評を博していたのも知ってる。

かといって、まだそれほど多作じゃないし、そもそも連続ドラマは初めてじゃないかと思うのに、すごいよ! 彼女の持ち味はなんといってもミニマリズム。必要最小限のセリフで場面場面が描かれ、驚くべきスピードで物語は進んでゆく。それでいて、雑さはまったくないどころかきめ細かく、どこまでも綿密な伏線が張り巡らされ、脇役に至るまで登場人物には個性的な造型がなされている。結果として、息をのむような凄いダイナミズムが生まれている。

主人公の糸子は岸和田っ子でだんじり祭りが大好きっていう設定なんだけど、もうむしろドラマのタイトル「だんじり」でいいんじゃないって言いたくなるくらい、速さ・勇壮さ・大胆さにあふれたドラマだ(笑)。や、しかし、そこを『カーネーション』っていうのがまたいいんだけどね、詩情があって。各週の週タイトルが花言葉で、これがまた、タイトルが先か内容が先か、ぴったり同時なんじゃないのかってぐらいに一致していて、花言葉それ自体も印象的なものばかりで、脱帽だ。