神無月の九

●10月某日: 実家へ。ばぁばが自分に甘甘のメロメロなのをちゃんと理解していて、「これ開けて」とか「これ食べたい」みたいな要求はすべて私をスルーして、彼女に持っていくサク・・・。とはいえ、私がしばらく席を外すと、うわーんうわーん言いながら探しに来たけどね、ふふん。延々と遊んでもらって完全にハイテンションになり、眠くてたまらないくせに寝かしつけにも応じようとしない。根負けして(というか、母がいる気楽さで)先に昼寝に入った私に代わり、ばぁばが抱っこでゆらゆらして寝かしつけてくれた。こ、これも親孝行・・・かな? 夜、夫も寝てしまったあとでちょっと夜更かしして、NHK教育テレビでやってた「女殺油地獄」の義太夫を見る。人形はなく、素の謡だけだったのに、手に汗握る緊迫感があり、想像以上に引き込まれた! 豊竹咲太夫の義太夫と鶴澤燕三の三味線コンビは、『あやつられ文楽鑑賞』で三浦しをんがインタビューしていたふたりだったので喜びもひとしお。

●10月某日: 夕方から夫の実家へ。義父のお兄さんも千葉から泊まりに来ている。夜はもつ鍋。むちゃくちゃ美味しい。しっかし、いつ行っても食事に対する気合の入りようが半端じゃない家だ! サク、昨日に引き続き注目の的で、またハイテンション。私が風呂に入っているときはぐずっている声が聞こえていたが、戻ってくると途端にはしゃいで、なっかなか寝ない。さすがに自分の実家じゃないので頑張って寝かしつけました・・・。

●10月某日: 夫の実家でとある田舎のお祝い事。じーんとくるひとときあり。南蔵院から来た副住職さんのお経の唱和もよかった。親族や近所の人、関わった職人さんなども合わせると30人ほどの人々に(と、実家に集まれるのがさすが田舎・・・)、お弁当にお吸い物、お漬物、煮豆、たけのこ煮、ビール、お茶などなど振舞う。義父母、大変だっただろう。と他人ごとのような口調なのは、相変わらず私が箸にも棒にもかからない嫁だからで、宴もたけなわ、というころにはサクを寝かしつけるついでに自分も思わず昼寝していたくらいである。むしろ、サクのほうが役に立ったかもしんない。中高年の方が中心のお客さんの中に、ちょっと話が途切れたり、手持ち無沙汰になったりしたときに、頑是無いようすでチョロチョロしてる子がいると、間がもつことってあるからね。まあ、お線香やマッチ、ビールグラスにお箸など、手当たりしだいにアタックしていくので、邪魔に思う人もいるのだろうが。夕方、辞去。知らないうちに気を遣っているのか(よく言うよ)、ちょっとビールを飲んだらどっと疲れが出たような。