フィギュアグランプリシリーズ2011 スケート・カナダ

リザルト:ISU GP Skate Canada International 2011
フリーのあとのインタビュー。総合3位にはつけたものの、「技術点が7番目くらいだった。これじゃ勝っていけない」と強い反省というか危機感というかを語る高橋大輔。それを受けてインタビュアーが発した次の質問が、「グランプリファイナル出場に向けての意気込みを聞かせてください」ですよ。そりゃ、ないでしょーと思うんよね。会話になってないもん。でも、このときのデーさんに限らず、日本の選手みんな、慣れた様子で対応してます、こういうことに。

なんだかんだいって、フィギュアスケートって、日本じゃマイナースポーツなんだなと思うのはこういうときです。判で押したような解説やインタビュー。チャンと高橋の新旧世界王者対決!という煽りも。確かに、1試合1試合、点数も順位もつくし、選手だって表彰台に乗りたいと思ってるだろうだけどさー。

フィギュアの試合って、クリーンに滑ることがすごく難しい。自分にできるかできないか・・・いや、できる、できるんだ!っていうかやるんだ! っていうレベルのプログラムを、みんなそれぞれに用意してくる。そのプログラムと自分との戦いっていうか対話っていうか、そういう側面がすごく大きいと思う。いいときも悪いときもありながら、シーズンを戦ううちに少しずつ磨きのかかったプログラムに仕上がっていくのを見るのが醍醐味。ひとりの選手が、何年もかけて体の変化やらプレッシャーやらと戦って、技術力も表現力も精神力も向上させていくのはもっと醍醐味。

・・・でも、そういう楽しみ方って、フィギュアスケートという競技のファンのもので、真央ちゃんが好きとか高橋大輔が好きとかいう人に比べても、フィギュアのファンってもっとずっと少ないってことだよね。だから、わかりやすい順位争いなんかを前面に出した報道をする。その結果、日本人にいい順位がつかなければみんな注目しない・・・。

うむ。ま、ほとんどのスポーツが抱えている問題だしね。私ったらいつのまにか、フィギュアスケート大好きになってたんだなーっていう話でもあります。

さて試合。

高橋さんはジャンプ心配ですね。解説の田村さんが膝の具合を懸念していたが。しかしショートもフリーも何度も見たいプログラム。毎年すてきなプログラムを用意してくれてほんとにありがとうと言いたい。キャリアがもう10年とかあるんだもん、毎年大変だと思うよ、選曲も振り付けも。みんな彼らしさを求めるし、しかもスポーツ選手としては挑戦的でもなければならない(はず)。フリーのブルース、最初と最後のポーズが一緒なんだけど、これが「さすが高橋だな!」って口笛吹きたくなるようなね。

Pチャン(あえて「・」なし)のSPが今年も「TAKE 5」だったのには驚いた。てっきり、あれは極めたものとばかり。同じプロやって、前の年よりいい点数が出ないって、精神的にかなり凹むんじゃないかと思うんだが大丈夫なんだろうか・・・と、老婆心。去年、別次元の点数が出たときには思わず引きつったけど、やっぱりこの人好きです。なんか憎めない。あんなによく滑るくせに衣裳がちょいダサなとことか。

デニス・テンの演技がなんかぐっとくる。がんばって、また地上波で映ってくれ〜! と思ったら、彼はスケアメ・スケカナと連戦で、これでGPシリーズはもう終わりなんですかね?

女子は「14才、衝撃のデビュー」という冠をトゥクタミシェワが見事にモノにした。ミドルティーンの女子のジャンプって本当に見てて気持ちいいよね。むちゃくちゃ軽やかだもん。でも、そういうふうに飛べる時間は誰にも限られている。

フラットもミライもレオノワも、今その段階にいるのかもしれない。ミライのSPはそれほど悪くは見えなかったけど。くるくると表情を変えながら柔らかな体できびきびと踊るミライが好き。スピンから唇をぐっと引き結んでのラストポーズはこれぞミライって感じがした。

トゥクタミシェワに戻るけど、彼女はどんなスケーターになるんだろう。音のとり方がすごく上手で、手つきに雰囲気があって、笑顔が華やか。スターになる条件はじゅうぶん満たしてる。若い選手って往々にして勢いにまかせて雑になっちゃう感じがあると思うんだけど、彼女すごく丁寧だよね。

で、トゥクタミシェワがあんなふうにぴょんぴょん飛んでみせても、フリーはあっこたんのほうが上回ってるんだよね。SSではワグナーも。これがフィギュアスケートだ! あっこたんの「こうもり」もワグナーの「ブラック・スワン」もすごくいいプログラム。