10/13放送 瑛太 @『スタジオパークからこんにちは』 

「自分のことを話すのは、好きですか?嫌いですか?」という質問に、初手から「うーん・・・好きでもないし・・・嫌いでもないし・・・」と、彼らしい朴訥な答え。ま、どーゆー質問だ?て話だけどね。ていうか、瑛太さんの煮え切らない答えを引き出すための、釣りか。そうなのか。

VTRで登場した三池崇史監督は、「瑛太さんと生放送で50分話すコツって?」と聞かれ、「彼が沈黙しても焦らないこと」と解答。さすが、ナイスアドバイスである。といっても、瑛太さん、すごくよく喋ってくれた! もう、言うこと言うこと、すべてが自分の言葉で、しかも含蓄があり、すごく素敵。せっかくなので覚え書いとく。あ、ニュアンスは損なわないようにしているけど、一言一句の書き起こしではないです、あしからず・・・。


●(俳優になった経緯について)-----モデルをしているうちに、もっと何かしたいと思うようになって、事務所の社長と話し、学校帰りなどにCMや芝居のオーディションを受けるように。並んでいる受験者たちの中で、何ができるわけでもない、とびぬけたものがあるわけでもないのに、「俺が一番いいな」「根性だけは負けないぞ」と思ったりしていた

●(俳優という職業に)-----最初から向いている人はいないと思う。どんな人でも落ち込んだり・・・作品に出たら賛否があって・・・自分を好きになったり嫌いになったり、向き合うことで作品に貢献できるのではないかと。

●(番組側が用意した、瑛太を語るうえでのキーワード「自然体に生きて」について)-----カメラの前で演技したり、こうやって喋ったりするって、自然なことではないと思う(←エミ註:なにげに全否定w)

●(『篤姫』で決定的な人気・知名度を得たわけだが?)-----同時に映画を撮っていたりもして、すごく忙しく、しんどくて、移動の車の中で空を見ると涙が出てきたり。今になると、あの体験はなんだったんだろう?と思うが。

●(映画『嫌われ松子の一生』の中島監督について)-----「このへたくそ!」とか、「役者やめろ!」とか、ものすごく追いつめる。けれど、そうやって、追いつめられた中で必死にやった姿を、カットしないでほとんど全部使ってくれていた。うれしかった。

●(追いつめられたときの抜け出し方は?)-----抜け出せない。抜け出さないほうがいいようにも思う。自分でコントロールしながらやっていくものだろうが、追い込んで、つらいときのほうが、いろんなものが出てくる気がする。

●(順調に見えていても悩んでいたんですね?)-----当時のはっきりした心情は細かくは思い出せないが・・・でも、こうやってあらためて出演作の写真を見ると、いい作品にも出会えているし、自分なりに楽しんでいたような気もする

●(いよいよ公開の映画『一命』で共演した市川海老蔵について)-----初対面から、これぐらい(と、海老蔵の顔に見立てた手のひらを、キスできるぐらいまで、自分の顔に近づけて)心の距離を詰めてくる。言葉で言われたわけではないが、俳優として、自由でありたいということ、やっているうちに決めてしまっていることや、クセを、どんどん壊していかないと、見ているほうも面白くないのかなということを思った。

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やっぱり、“もってる”んだなーと思う。強運ももちろんなんだけど、なんというか、深みがある。そういえばえーたさん、「それでも、生きてゆく」では深見さんって名前だった。むちゃくちゃどうでもいいですね。

立て板に水、なんて表現からはほど遠いしゃべり方だし、すごく知的な語彙・言い回しを使うわけでも、オモロいことを言うわけでもない。でも、どんなに紋切り型の質問や進行でも、上澄みを掬い取ったような答え方をしない。自分の心の中にあるものを探し、なんとかつかみとって、言葉にしている、というのがひしひしと伝わってくる。だから、瑛太さんのインタビューを聞くのは、いつもすごく好き。その語り口と、語る内容にもすごく整合性がある。

出会った人や作品、それに派生して出てくる苦しみとも、「向かい合う力」がある人なんだなーと思う。向かい合い、そこから得ることができる人。

とても真摯だけど、生真面目って印象じゃなく、どこかユーモラスさもにじみでてるし、そういう多面性が感じられるのも魅力的。総じて、まだ若いのに、人間としての深みを感じるんだよね。いろんな監督から彼に声がかかるのもわかる。

番組半ばで再び流れた三池監督のVTRも、すごくよかった。「また瑛太さんと仕事がしたいですか?」という質問に対して。

「自分の映画で瑛太に合うようなものは5年に1回くらい。(では、また5年後に使うか?と聞かれ) それはわからない。自分が生きているかもわからないし、彼の人気も・・・。厳しい世界だから。5年後を考えて作っているわけじゃないし。今の作品、現場は将来のための道具じゃないんだから。ただ、今、今を積み重ねていって知らないうちに時間が経ってるというだけ。ほんとにどうなるかわからないから、冒険者でいつづける。冒険者の行動は見ていておもしろい。瑛太は、そういうふうに、いいふうに年をとっていく役者だと思う。だから、5年後も売れてたら、ぜひまた出てね。」

なんという、すばらしい答え、かつ、俳優・瑛太に対する賛辞! 

にしても、スタパのアナウンサーって、代々、たいがいアレじゃないですか。私なんかいっつも、「アウトソーシング!」と叫んでる。なのに、胸襟をひらいた話をする瑛太さん。すてきだ。

でも、2007〜8年ごろから“世間一般に”注目を浴びて、きつい時期があって、ひと山越えて新しいゾーンに入った時期でもあるのかもな。先般、ムカイリさんのようすが気になったが、2014〜5年あたりは、またテレビでも心を開いてくれるのではなかろーか。でなくても、そのころには、自ずと今と違った姿を見せてくれるであろー。