テグ世界陸上2日目!

男子10,000m決勝。もうここ5,6年は敵なしで君臨する皇帝ベケレ(エチオピア)、ラスト1周で赤子の手をひねるかのように涼しい顔でスパートを決めるベケレが、中盤で遅れ出したかと思うと、そのまま首を振ってレースをやめてしまった。信じられない! 故障もあり昨年は休養していたらしいけど・・・。バラけていく集団から抜け出した有力者ファラー(英)がそのまま1位でフィニッシュするかと思いきや、4コーナーまわった直線の最後の最後で伸びてきたジェイラン(エチオピア)にハナ差で交わされてしまった! あ、つい競馬っぽく。

男子100m準決勝、決勝。準決勝ではボルトの出来に解説の朝原さん、「ちょっとものたりないですね」と首をひねる。1位でこそ抜けたが、スタートの反応と初動の伸びがイマイチだったとのこと。確かにボルト自身も微妙な表情をしていた。しかし決勝までを過ごすウォームアップエリア*1では、余裕というか貫禄というか、すごくリラックスして見えたのに・・・。結果はフライングによる失格。競技場の観衆のどよめき出すより先に、彼自身が気づいて天を仰ぎ、ユニフォームを脱ぎ捨てる姿が印象的だった。

世界陸上という競技会が好きで、それはもちろん輝ける瞬間が見たいからなんだけど、考えてみると、負けることを目の当たりにしていることがずっと多いんだよね。もちろん、順位にかかわらずベストを尽くして笑顔を見せる選手もいるけど、敗北したと感じながら去っていく選手もすごく多い。

人生において、輝ける瞬間って本当に短いんだなっていつも思う。ベケレにしろボルトにしろ、誰をも寄せつけない圧倒的な王者だった姿をまだ鮮やかに覚えているのに、2年後には、こうして彼らが苦杯をなめる姿を見なければならないのだ。

で、これまたいつも思うんだけど、永遠に勝ち続けることのできる人なんて、いない。このあと、5,000mのエントリーをベケレが取り消そうとも、ボルトが200mで再び負けることがあろうとも、2年前の彼らの金メダルの価値は私の中では下がらない。飛躍するけど、Qちゃんのシドニーでの金メダルとか、北京で朝原さんたちが獲ったリレーの銅メダルとかの価値も、全っ然下がってないんだからねっ!

ボルトがいなくなった100で勝ったのは、彼の練習パートナーであるブレイク。予選でも準決勝でもとてもよかったので納得だった。ゴールしたあと、両膝をつき、眼を閉じて両腕を広げた姿が絵みたいだった。銀メダルはアメリカのディックス。銅メダルは、大ベテランのコリンズ(セントクリストファー・ネイビス)で、朝原さんがたいそう喜んでたので私もうれしかったことです。

女子棒高跳び予選。美人アスリートの代名詞でもある女王エレーナ・イシンバエワ(ロシア)もまた、前回のベルリン大会では記録なしに終わったんだった。あのときはショックだったよね、彼女自身も、私たちも、織田さんに至っては(以下略)。今回は4m55を一発で軽々と飛んで予選通過。余裕ありまくりのすばらしい跳躍でしたね。アメリカのサーと決勝戦でどんな戦いを繰り広げるのか、楽しみ。

男子110mハードル予選。劉翔もまた、優勝を期する中国国民10数億人の眼前でまさかの棄権となったことがありました。北京五輪だったからね〜、そのあとのバッシングの凄さは想像するだに涙をそそられますが、今回、復活! ロブレス(キューバ)やオリバー(米)も順当に抜けてます。これ決勝が楽しみだわ〜。かなりの接戦が予想されます。

女子100m予選。ジーター(米)、キャンベル-ブラウン、スチュワート、フレーザー-プライスのジャマイカ3人など、順当に勝ち上がる。バハマファーガソンが残ったのもうれしかった。そして、福島千里! なんと2位で堂々の順位通過だ!

女子400m準決勝。1組目で、この種目初参戦のアリソン・フェリックスが余裕の通過を決めた後、次の組でディフェンディング・チャンピオンのサンヤ・リチャーズが登場。序盤、すばらしい走りを見せて圧巻かと思いきや、後半にまさかの失速で3位。結局、タイムで決勝進出が決まったけど、あわやここで消えるかと肝を冷やしたわ。ボツワナのモンショー、ジャマイカのウィリアムズは調子良さそう。

女子走り幅跳び決勝。走り幅跳びって、なんとなく番狂わせが多いイメージがあるんだけど、リース(米)が連覇! なんというか、すんごく強そうな顔の人です。新鋭・今どきのチャキチャキのロシアっ子、って感じのクリシナちゃんは実力を出し切れず7位で終わる。君にはこれからまだまだ活躍してもらうぜ!

十種競技。これさー、いっつも、最後の1,500mしかテレビで映んないよね。ま、十種もあるんでしょうがないけどさ。ずっと見てたらたいそう盛り上がるだろうにね。もうさ、マラソンみたく、開会式の前にやったらどうかね。いっそ、前日にやったらどうかね。はっ、でも七種もあるんだっけ。選手ってかぶってるんだっけ。日本人でただひとり出場してた右代さんという人、すごい体してた。

ボルトのまさかの敗戦にどよめいた2日目だったが、こういうときにギャンギャン騒がないのは、織田さん、さすがだと思った。ダテに10年以上、いろんな負けを見てきたわけじゃない、っていうか。絶対王者なんて言葉は言葉でしかないのは、考えてみればあたりまえなんだけどね。張本さんあたりは週末に「喝」を入れるんだろうな〜、憂鬱だぜ(サンデーモーニング見なきゃいいんだが)。

*1:今大会、サブトラックという言い方はしないの?