『それでも、生きてゆく』第7話

マジかーーーーーー!と絶叫しそうになる展開だった。すげーぞ、このドラマ。早くも今年度ナンバー1の呼び声が(私の中で)。むむ、『JIN』があるわけだが。だがしかし。

過去の回想を丁寧にさらっていくのは『Mother』と同じだなぁと思いながら、微笑ましいようなシーン(折り紙の金魚と差し入れを交換とか)にも、この後に来るであろう破局を予想して、どよーんと前半を見ていたわけですが。

芝居自体はけっこう長回しなんだろうけど、複数の舞台が小まめに切り替わりながら進行していく後半は、もう心臓に悪かった。フミヤはそのうちやる、やるだろうと思ってはいたけど、ああっ。

金槌を捨てようとするんだけど手から離れない、とか、慣性の法則みたいに壁に額を打ち続ける、とか、演出がコワ。慣性の法則といえばスクワットも怖かった。日記も怖かった、「ゆきえはハンマーで叩かれながら餃子を作った」っての。

安藤サクラ*1の役どころも視聴者を戦慄させるのにかなり一役かってた。見るからに更生なんてしておらず、頭も悪けりゃ思いやりもないキャラで登場して視聴者を何度もイライラさせといて、今回、凶器を手にしたフミヤの前から逃げない姿を描いた。彼女は少女を本気で逃がそうとした。かなりいろいろ問題ある人間でも、一線を超えることはない「人間」だってこと。フミヤは違うんだ、ということをはっきりと知らされた一幕。

しかし、安藤サクラサトエリも死んではないよね、たぶん。ここで新たな死、ということになると、またずいぶん変わってきちゃいますからね、深見・遠山両家の人々が戦うものが。

あと、かなり夢見がちっていうか軽率な言動をすることがあるっていう双葉の人物造形がなにげに効いてる。

双葉の言動を見ながら、「そりゃねーだろ」という感想を抱くとき、次の瞬間に「事件後の15年間を思えば、そりゃ多少おかしなところがあるのも無理ないわ」っていう気持ち・・・彼女もまた被害者なのだ、と思う気持ちと、「“あの”フミヤの妹だから、やっぱりどっかおかしなところがあったりするのかな」っていう自分の中での先入観、差別意識みたいなものが同時に出てきて、なんともいえずイヤ〜な気持ちになる。

視聴者の大半にとって、このドラマで起こっている出来事は、はるか遠いものでしかないんだけど、このイヤ〜な気持ちを味わうことで、ドラマの世界の空気をかなり共有させられる感じがする。取り込まれてる感じがする。

それでも、生きてゆく」というドラマのタイトルが、改めてものすごく重くのしかかってきた第7話だった・・・。

*1:奥田瑛二安藤和津の娘なんですってね! 確かにどっちにも似てるわ!