『それでも、生きてゆく』 第1話

題材が題材なのでためらったけど、脚本・坂元裕二と演出・宮本理江子の名にひかれて録画視聴。

悲しい悲しすぎる事件。バラバラになった、心が壊れたままの被害者家族。レッテルから逃れられない加害者家族。動き出す物語。70分拡大版とはいえ、1話で描き出す手腕に舌を巻いて、そんで号泣した。柄本明の「急に凧が落ちて、お父さん見に行こうと思ったんだ。でもあの日は暑くて・・・」のセリフから涙腺崩壊。

床一面に広がる、箱入りの女物の靴の図。「忘れよう」と家族には言った父親が実は「死んだ子の年を数える」行為をしていたこと。そこから何かに憑かれたように凧を揚げる兄の目の前で焦点を結ぶ妹の可愛い顔・・・という涙なしに見られない場面。

そのあと、初めて光の宿った目で、ピシッとした黒スーツで犯人を刺そうとして、それを止めようと泣いてすがりつく犯人の妹を蹴り落としてでも階段を上ろうとして、でも犯人は何事もなかったかのようにタクシーを拾って去っていく・・・という、最高潮の緊迫感を出す歩道橋の場面。2段構えのクライマックス、見事だった。。。

視聴者を少なからず逃がしてしまうとは承知のうえでの、このド直球なタイトルなんですよね? 母である大竹しのぶに向かってそう叫んだあと復讐に向かった初回と、きっと呼応する形で最終回を用意するんだろう。そこには、何かしらの癒し・救いという変化がもたらされるはずだけど、どういう道筋でそこに向かうのか、今は想像もつかない。被害者家族の絶望を思うと・・・。