水無月の十

●6月某日: この春に開業したJR博多シティー(という名の駅ビル)。さんざん色んな媒体で宣伝を見ても特にひかれなかったんだけど、百聞は一見に如かず。いざ行ってみると「ほぇー」と、お口あんぐりになっちゃうようなインパクトがあった。確かに、おなじみのテナントも多い。百貨店もショッピングビルも、福岡市はこれまでだって不自由していなかった。それでも、全体の雰囲気が、なんというか、とても新しかった。いくら日曜とはいえ、午前11時からあの人の多さ、特にレストランフロア『くうてん』の行列といったら! すわ、ここは東京か?!と思ったよ。

夫、2時間半、抱っこひもで歩き回ってがんばった。サクも途中爆睡しつつよくがんばった。目が覚めたらいきなりきらびやかなビルの中で人がたくさんで、それからは終始、目がぱちくりだったもんね。

結局、何ひとつ買わず、飲まず食わずで帰途につく。帰りのバスに乗り、夫が「今日は純粋に社会科見学だったな。」と言って笑った。

もとより欲しいものがあって行ったわけじゃない、きれいなもの、おしゃれなもの、新しいものが見たくて足を運んだようなものだから。つまり、エイヤッとならないとそういうものを見ることのない生活だってことなんだけど。ま、今はそういう時期なんだと思う。子どもはいつまでも小さいわけじゃないし、私にも、またいつか物欲にまみれるターンが来ないとも限らない。

そのころにはこういうかわいい気持ちはなくなってるような気もするけど(笑)、サクが大きくなって私たちと出かけたりなんかしなくなったあと、また夫とふたりで、すてきな店でのんびりお茶とかお酒とか(酒とか酒とか、じゃないですよ)を飲んだりするようになりたいな、というのが、ひそかな願いだったりする。