『王様のレストラン』

王様のレストラン DVD-BOX La Belle Equipe

王様のレストラン DVD-BOX La Belle Equipe

福岡で再放送やってましてね。録画して、全話視聴。放送時には多分、とびとびでしか見てなかったと思う。

今見ると、「なんか甘いなあ」「そこは目をつぶれってか?!」と感じるところがいろいろだった、意外にも。これは一種のファンタジーであると、ちゃんと念頭において見てさえも。

ひとつにはきっと三谷さん自身の若さというのがあって、今ならばもっと別の描き方をしたんじゃないかと思う。脚本家として腕を上げたがゆえに。あるいは、描き方や、描きたいことそのものが変わってきたがゆえに。

『我が家の歴史』もそうだったし、近年の舞台(見てはないんですけどね)も、だんだんビターさを増している印象の三谷作品。年を経るつれ、人間や人生のより複雑な部分を描こうしたり、新しいものに挑戦したりするのは、ひとつの自然な流れだと思う。

もうひとつは、「時代の若さ」とでもいうのかしら。1995年には、これで誰も違和感なかったんじゃないか、という気がしたんだよね。時代のトレンド、というのとはまた別に、この15年で、ドラマも進化してる部分があるんじゃないかと思ったなあ。ちょうど、スポーツの記録がどんどん伸びていくように。

もちろん、基本は好みの問題だし、今だってクソおもしろくないもんもあるけど、この2010年代に人気のあるドラマっていうのはポンといきなり出てきたもんじゃなくて、作り手と見る側、両方の、長い間の切磋琢磨のたまものとして生み出されたという面もあるんじゃないかと。(つまり同時に、両方の怠慢によって劣化していく部分もあるってことなんだけどね・・・)

そんなわけで、かつて名作とされたものをひと時代後に見るって、いろいろ面白いもんですね。そう、やっぱり、ドラマ史を語るときは外せないでしょ、っていう、まぎれもない名作ですよ。脚本、演出、音楽、キャスティング・・・どれをとっても「すばらしい」(@千石さんふうに)。おもしろいうえに幸せな気持ちになれる、それで支持されたドラマ。

山口智子の「もってけ〜!」とか、千石さんの「すばらしい」が出るとわくわくするし、筒井道隆が「5つのP」的な小咄を始めたり、西村雅彦がカラーひよこの話を始めるだけで笑える。いかにも芝居っぽい芝居をする人たちと、山口智子筒井道隆の素みたいな演技とを調和させる作りこんだ演出が新しかったよね。本人の意思とはいえ、山口智子が第一線で女優業を続けてこなかったのは視聴者として残念。鈴木京香は、確かに若いけど、15年前なのにこの熟し方、なんなの! 今も昔も美しすぎです。

あと、登場人物がみんな源氏(義経、頼朝兄弟)にゆかりのある名前だってことに、今回、すぐに気づいた。15年の間に、私も進化したようです、歴史オタクとして・・・。は、恥ずかしくなんかないもんっ