『江』 第14話「離縁せよ」

私は大河ドラマにはやっぱり様式美を求めている部分がある。豪華絢爛な着物や調度品よりも、立ち居振る舞い、細かい裾さばきとか扇の取り扱い、その時代らしい価値観が感じられるセリフなんかに萌えるタイプなのだ。

だから、ミョ〜にバタバタ歩いたり、やたらと唇をとがらせて喋ったりする、この戦国の姫たちを見てると、「なんでそういう演出かな〜〜」とがっくりきてしまう。親しみやすさよりも、お姫様らしさを追求してほしいのよ。

思いおこせば、2007年の大河『風林火山』では、「民放の時代劇には出せない、美しい日本人の所作を見せよう!」という作り手の意気込みがあったらしく、着物やセットは地味でも眼福の大河でした。しかし、残念ながら、そのあたり、大方の視聴者にはどうでもいいところなのか、費用対効果が見合わないのか、そんな目標は単年度のみではかなく消えたもよう。。。

ま、宮沢さんはお姫様らしいお姫様を演じていることだし、主人公の年代が進んでいけば、演出もだいぶ変わっていくんでしょう。

所作はともかく、男女まわりに関しては、いかにも女子が好みそうな、お姫様と若殿様めいたストーリーになるのが約束されているだろう今年の大河。今回など、田渕センセイの筆もことのほかノッている感がありました。「名実ともにわしの嫁になる決心はついたか?」ですってよ〜、恥ずかしくて見てられなくってよ!(・・・ええ、嫌いじゃありません。これはこれで。)

これから、ザイルの男前さん、そして真打ち・ムカイリと、次々と王子様が登場するわけで、今回の出来を見ると、『篤姫』の視聴者層あたりはだいぶ戻ってきそうな気がします。

信長の幻影が重なるくらいだから、江は主人公の特権をふりかざし、無理くりな筋書きで秀吉を圧倒し続けるんだろうとばかり思って(あきらめて)た私。今回の最後、秀吉に翻弄され、いじめられる江ちゃんの図は意外でした。おねと茶々の関係性も、単なる敵対ではなく、かといって、まるっきり腹蔵なく相和すわけでもなさそうで面白い。なんだか、今後がちょっと楽しみになってきましたよ。

最後に、大河ドラマの視聴率について一部でいわれている抜群のフレーズを書き留めておきます。「閨は戦より強い」。至言です。