『Q10』第2話

最近のドラマというのは、ひと昔前なら最終回の一話前くらいまで引っぱるようなネタを、えらくスピーディーに展開させることがしばしばある。第一話でいきなり正体がバレるとか。4話くらいで秘密に気づくとか。それで視聴者は「え、もう?」と驚くと同時に、「ここでこうなるってことは、この先いったい何が待ち受けてるの?!」と、より興味をひかれてしまうのだ。

「俺、恋してるんだ」
このドラマでも第2話のラストにして、すでに平太(佐藤健)が自分の気持ちに気づいてしまったんだけど、ちょっと唐突な感はあったなあ。アイドルにマンガのキャラクター、電柱。周りの人間の好きなものをいろいろ知っていく過程で、ラストへの伏線ってあったっけ?(涙かと思った・・・以外で。) Q10前田敦子)と中尾がデートしてる最中も、ありがちなやきもちやいたりする場面とか、なかったよねえ? 私なんか見逃してる?

でも、今週もとてもおもしろかった。

無理して好きな男の趣味に合わせて自分を失っている民子(蓮佛美沙子)を人魚姫にたとえるのがうまい。でも、それで終わらせなくて、そんな自分に気づいて「あたし人魚姫なの!」と実際に海に飛び込ませたあとに、ちゃんと自力で陸に上がってこさせるシーンを映すのが良かった(本当の人魚姫は海の藻屑と消えてしまうから)。

一方で、マンガのキャラクターに似てるQ10とデートすることに「ローンを組んで3,000万払ってもいい!」と言い切れる中尾(細田よしひこ)がいて、デートのあとには、「今日も明日もあさってもその先も生きていける」と言う。好きで好きでたまらない子と一緒にいられたひととき、そんな輝きによって、人はこの世につなぎとめられるということ。

さらに、爆笑・田中は、薬師丸ひろ子の言うことを真に受けて、「あなたの家賃払います!」「健康保険料も払います!」と現実感丸出しのセリフ言って逃げられちゃう。未来永劫の保証をしてもてんでダメってこと。この田中が、別につまんない大人じゃなくって、むしろ電柱が好きでいろんな写真を撮ってて、教え子の佐藤健に「何を好きになったっていいんだよ」と言えるような奴ってのが、いいのよね。

そして、佐藤健のソウルメイト・久保(池松壮亮)が、手術の前に望む「夜の散歩」。あたたかいんだけど、切ないんだよね、このドラマ。そして、そのうえで、さらに生を肯定しようとしてるんだと思う。来週も楽しみ。

たけるんがアイドルに似てるとかって設定は今後も生きてくるのかなあ?