『龍馬伝』第35回 「薩長同盟ぜよ!」

こ、これが薩長同盟か・・・!
と、鈍い衝撃を受けた私は、ええもうやっぱり『竜馬がゆく』の世界の人ですから。もちろん、たとえ戸籍上で200歳の人が生存していようと、薩長同盟の現場なんて見た人はこの世に誰もいないわけだし、これが「無し」とは言い切れないよね。しかも、『竜馬がゆく』が書かれてから40年くらい経ってるんですっけ? その間に研究が進んで、「司馬さんの描写のこれはありえない」ってところなんかも、あったりするかもしれないし。

そういえば、このドラマでは、少年将軍・家茂が、よく、不安に駆られた表情でお菓子をパクパク食べてるんだけど、彼の遺骨の調査から、ほとんどの歯が虫歯だったということがわかってるっていうじゃないですか。だから、好きなんだよね、あのシーン。割と、そういうのをうまく織り込んでいるドラマだと思う。今週でいえば、松平容保さんが、やっぱりちゃんと、写真に似た感じのイケメンさんでしたね。

しかし、大河ドラマに脚色は欠かせないものとはいえ、あれだけ幕府側に追われる緊迫した状況で薩長同盟の立会いに行く途中、新撰組屯所に立ち寄るっていうのはどうかと。『(脚本の)福田靖は、京都をどれだけ狭い町だと思っているのだろうか』と書いてあるブログに行き当たって、笑ってしまった。これも、龍馬伝に限らずよくあるんだけどね。新幹線でもあるのか?ていう大河とか、メールでも送ったのか?ていう大河とか。でも、ま、この辺で弥太郎にも会っとかんとな、いちお副主人公なんやけんね。と、理解のある視聴者の私。

反対に面白いなと思ったのは、この段階から見廻組を出してきたこと。新撰組との関係の描き方は、土佐における上士と下士の関係よろしく、ステレオタイプなものになりそうだけれど、彼らが出てきたことで、「このドラマでは、龍馬の最期をどう描くのか?」てことに興味が湧いてきた。

そして、この回、キャストクレジットでのトメ(最終)グループは、
 高橋克実(西郷)→谷原章介(木戸)→蟹江敬三(弥太郎父)→倍賞美津子(弥太郎母、大トメ)
の順だった。タニショーさんは、中トメグループからトメグループに移動したんですね、これからずっとそうなのかな。

大河ドラマにおけるトメグループというのは、私のような大河オタクにとって非常に格の高いものであるわけで、高橋克実もタニショーも、ここにクレジットされているのを見るのはちょっと驚きではある。まあ、例年の大河に比べると、いかにも大御所的な役者の起用が少ない『龍馬伝』ゆえでもあろうが、考えてみると、彼らのキャリアももう長く、じゅうぶんにテレビドラマの世界に貢献してきたといえる。うん、不思議なことではないのかも。昨年『天地人』での阿部寛の大トメといい、大河の世界でも世代交代が進んでいくというわけですね。というか、龍馬が主人公のドラマで西郷隆盛木戸孝允を演じるふたりなんだから、当然か。

そういえば先週まで、中岡慎太郎上川隆也さんもトメグループでしたね。彼については、かつて『功名が辻』で主演格の山内一豊を演じた実績があるので、トメで出てきてもそんなに驚かなかったんだよね。・・・こんな愚にもつかないことまであれこれ考えて楽しめる日曜日が、好きです。