『Mother』第5話、第6話

まったくー、(年齢の)上から下まで、女優が良すぎるんだよ、このドラマ! あの子役の子が5歳だってことにもびっくりした。どんだけ感受性とか理解力とかあるんだろう。むしろ、この先、生きにくいんじゃないかと心配になるくらい。

それにしても、いつどこで見ても安定感ある酒井若菜が今回も好演しているのは驚くまでもないことだけど、高畑淳子にこんなに泣かされるとは思わなかった5話、6話だった。

このお母さん、何げにすごく大変だよね。お父さんいないし、けっこう大きそうな会社の社長だし、昔から長女も次女も難しい子だったっぽいし。でも、いつでも元気できれいで気丈で、大きな愛情をもって家族を守り続けてきたんだろうな、というお母さん像を、くっきり浮かび上がらせている。高畑さんてこんなに達者だったのか。

5話、居酒屋のカウンターでの話や、6話、「それでも家族よりあの子を選ぶっていうなら、あなた、人でなしよ」のくだりなんか、ひっくひっくとしゃくりあげて号泣したよ。居酒屋のカウンターといえば、
「私、幸せだよ」
「苦労したわ、あなたが笑ってる写真探すの」
松雪と高畑のせりふがかぶるとことか、演出もとてもよかった。

こんなにもいいと、最後どう結着させていくのかどうしても気になる。結着というのは、つぐみは結局どっちの母親と暮らすのか? 田中裕子はやっぱり死ぬのか?とかいう筋書きというよりも、このドラマの出す答えのようなもののことだ。つまり、母性について。

松雪泰子がつぐみにあんなに執着することや、「(養女にあなたを選んだ)理由なんてない。親子って出会ってしまうもの」みたいな高畑淳子のせりふや、迷うことなく中絶を決めながらいざ手術となると泣き崩れる酒井若菜など、これまでのところ、ドラマは母性を「否も応もなく、気づいたら、もってしまっていたもの」として描いているように思う。

それは「無償の愛」であっても、今のところ、必ずしも愛情の向かう相手(=子ども)を幸せにするものではないわけだ。

おそらくは「守るために」娘を捨てたと思われるが、田中裕子のその行動によって、松雪泰子は暗い影を背負い続け、それは育ての母・高畑淳子の大きな愛情をもってしても拭い去ることができない。「お母さんになったね」と養護施設の女性に言わしめた松雪泰子は法に背いて母となったのであり、結果として育った家族を傷つける。母性に目覚めつつも、酒井若菜は障害のあるわが子を中絶する。

雰囲気的に、最後、何かしらの“救い”を用意しているだろうとは思うんだけど、どういう形で見せてくれるのかすごく興味がある。その鍵のひとつが、つぐみの産みの母、尾野真千子の取り扱いだよね。娘を虐待していた彼女もまた、母性に目覚めるのか? 個人的には、「母性をもてない人間もいる」というのも描いてほしいし、それイコール絶対悪だという決めつけからは、このドラマは逃れて欲しいなという気がするんだけど(もちろん虐待は悪だが)。結局、「子どもの無償の愛によって、母性のエゴすら赦される」みたいな感じになるのかな。