Can't Stop Crying

●5月7日(金)
来客予定も宅配予定もないのに朝からインターホンが鳴る。しかも1階ではない、ドアの前にお客さんだ!(1階にはカメラがあるのでディスプレイに映像が映るのだ)魚眼レンズで覗いてみると、階下にお住まいのおばちゃんだ。折しも、なかなかのボリュームで音楽を流し、あまつさえそれにあわせて調子よく歌声を張り上げながら家事してるところだった。なに?なになに?うるさかった? すっぴん+どうしようもない格好をしていたこともあり、超びびって居留守を使う。

家から20分ほど歩いたところにあるショッピングセンターに行ってみる。勤めていた会社と関係の深いところなのだが、わざわざ1.2キロ歩いていくほど特に魅力的なテナントはなかったな。それはいいとしても、わざわざとはいったってたかが1.2キロなのに、息切れ激しすぎ! 「そんなに苦しいなら外出すんなや・・・」と思われておかしくないくらい、しばらくぜーはー言ってた。調子のいい日と悪い日の差が激しい。

この家に引っ越してきて、初めてソファを買いました・・・というのは書いたが、連休中に、また初めてグッズを手に入れました。今度は、やかんです。なべやかんのやかんね。これまで、持っていなくても特に不自由なかったんだけど、夏に向けて麦茶など煮出して作ろうと思って買ったのだ。夫は「そんなことするんかねえ、えみっこが・・・」と懐疑的だったが、この日、記念すべき第1回目の煮だしを行ってやったぜ、えへん。

。。。とひとりで威張っている夕方、ふたたびインターホン。階上に住んでいる以上、逃れることは不可能であろうと思い、ドアを開ける。すると階下のおばちゃんは苦情を言いにではなく、甘夏みかんのおすそわけに来てくれたのだった! グレープフルーツほどの大きさもある天草の甘夏みかん×5個。これは、私たちが引越しの挨拶にしてはちょっと大げさなくらいの菓子折りを持っていっていた(こういうことにはケチらない夫が買ってきたのだ)のでその返礼といったところであろうか。玄関でちょっと立ち話。なんか、主婦っぽいわー、こういうご近所付き合い。

焼き餃子、ほうれん草とベーコン、えのきのバター炒め、キャベツとわかめのポン酢サラダという夕食は、ごはんをおかわりしつついつものようにもりもりと食べていた夫だが、「なんか体がだるい」といって体温を測っている。37.5度。

●5月8日(土)
夫は朝から友人の結婚式で長崎の大村へ旅立ったので、今日は自力でマタニティスイミングに行く。30分歩いて停留所に着きスクールバスに乗り込むと、私の後ろに座っている男の子が大泣きしている。窓にうつる泣き顔と言葉の感じからして、2歳は過ぎているかな、というくらいの子。
「お母さん、プールいるよお」
「お母さん、プールで待ってるよお」
と、大声で繰り返しながら泣いており、隣に座っているお父さんは「わかった、わかった」と言いつつ、ややもてあましている様子。子どもの体力というのは無尽蔵で、30分やそこらで泣き疲れるなんてことはないらしい。

繰り返される言葉から、“プール『に』いる”の『に』の助詞は使わないのに、“プール『で』待ってる”の『で』は使うんだなー、なぜだろう・・・などと、子どもの言語発達を題材に卒論を書いた身としては興味をもちつつ、涙をいっぱい流す泣き顔もかわゆいのう、と窓越しに見ながら、バスに揺られていたのだが、さあもうすぐプールに着きますよ、この調子じゃ、お母さんとの再会はどんなに感動的だろう、ぜひ見たいな〜と期待していると、百回目くらいの「お母さん、プールで待ってるよお」の声に、お父さんときたら、
「うん、○○ちゃんが、いい子にしてプールで泳いでたら、お母さん来るよ」
と驚愕の事実を明かすではないか! なんたること! 待っているというのはこの子の思い込みで、お母さんは実はあとから登場するのか!

そしてバスを降りて驚いたことには、私の席からは見えなかったお父さんはスリングをつけていて、その中には明らかにまだ生後2ヶ月くらいと思われる赤ちゃんがほやーっとくつろいでいたことだ。こんなに泣いてるのに抱っこしてあげないんだなーと思っていたら、そういうことだったのか! お父さん、ご苦労さまです・・・。

しかし男の子にとって、いまこの世の終わりのような悲しみから解放してくれるのはお母さんしかいない。泣きじゃくりながらバスを降りてスイミングのロビーに入り、お母さんを探すも当然いないわけで、こうなると、優しいインストラクターやお友だちのママがなだめすかそうとも、どうにもならない。大人は水着に着替えさせようと四苦八苦し、子どもは力いっぱいのけぞって抵抗しながら裸んぼうにされている。阿鼻叫喚の様子に、ロビーじゅうの人々の注目を浴びている彼ら。なんか、笑っちゃいけないんだけど、ほほえましくて、私も目が離せなかった。

ちなみに、コースの終了後、着替えてロビーに出て行って、この男の子を急いで目で探すと、ロビーの床にぺったりと座り込んでごきげんに絵本を読んでましたよ〜。その横には、弟か妹を抱っこしたかわいいママさん。ふう、よかったよかった。