『白河夜船』 吉本ばなな
毎日あまりにも眠いのでふと本棚から手にとった。眠り続ける主人公の話だ。
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/04
- メディア: 文庫
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吉本ばななが20代の前半で書いた、眠り続ける主人公の悲しみや疲れ、世界の底まで通じるようなおそれは、私にとってしっくりと肌になじんだものであり、最後におとずれる奇跡のような救いは、体中の毛穴からしっとりとみたしてくれるようなあたたかさだった。
なんか、ほかの初期の作品たちも久しぶりに読み返したくなってきた。自分のルーツになるような本があることをこうして体で実感するって、なかなかいいものなのだ。とても地味だけれど、かなりの自己肯定というか自己救済というか、そういう感じ。
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蛇足。
よしもとさんが年月を追うごとにスピリチュアルな方向に傾き排他性を増してるのは悲しいことだが、彼女もいろいろあったんだろうなあ、とぼんやり思う。三十路の私は、彼女が若くしてデビューしたときのあの騒ぎをかろうじて覚えている世代だ。今の綿矢りさとか、そんなもんじゃなかったからね。お金とか人間関係とか、さぞかし大変続きだったんだろう。世の中を少しでも救いたい、という気持ちでいることを日記なんかに書いてるよしもとさんだけど、私にしてみたら彼女自身を救ってあげたくなるときがある。例の、チェーン居酒屋とか大型電気店とかのことをねちねちと書いてる文章読むとね・・・。気持ちはわかるけどさ・・・。