『不毛地帯』第6話 結集せよ、日本の役者陣!

こんなもんをテレビで見せてくれるなんて、フジテレビ及びスポンサー、並びに製作にかかわっているすべての人たちに「ありがとーううう!」て叫びたいよ。そう、堀内孝雄ばりに大声で。

めちゃくちゃ面白いんですけど。これは私がいわゆる普通の会社で働いているサラリーマンだからなのか? ここで描かれる仕事もよう、ほんっとうにエキサイティング。必死に動く社員たち、上下関係、部署同士の軋轢、役員たちの覇権争い、そして近畿商事と東京商事の熾烈な戦い。中東戦争が始まって一気に買いに走る東京商事のやんややんやの様子、怒号とびかう取引所、対照的にじっと息を潜めていた近畿商事がロンドン市場の開始と同時に売りに転じ、みんながわーわーやってる中で、部長席に座りひとり戦略の成功を激しく祈る唐沢寿明・・・。

役者たちの本気そのものの演技が興奮させる。もう出番はなくなっているが松重豊もそうだし、佐々木蔵之介梶原善段田安則といった面々は、こういっちゃなんだけど、いろんなドラマで体よく使われすぎている感があり、はっきりいってしょうもない作品のたいしたことない役柄を演じていることも往々にしてある。それによって、役者が「消費されていく」感じってあると思う。しかしこのドラマでは、主演級ではないにしても、それぞれにすごい存在感がある。彼らの確かな演技力にあらためて脱帽させられる。

もうね、小日向文世谷原章介寺脇康文勝村政信北村一輝生瀬勝久も、白井晃とか温水洋一とか稲森いずみとかりょうとか酒井若菜とかエトセトラ、演技力に定評のある当代の名バイプレーヤーたちに、みんなみんな出てほしいよ。てか、演じるほうもやりがいありまくりだと思うよ、このドラマ。みんな今からでも売り込んで役を作ってもらいなよ! 

そして、もはや遠藤憲一なしに「不毛地帯」は語れない! 社内でわーわー叫んでみんなを鼓舞する動の演技、紳士的な挙措だけれどもどうしても爬虫類的な匂いがたちこめるような静の演技、どんなシーンでも魅力的すぎて、もう、もう・・・。出てこいよ、彼をキャスティングしたプロデューサー! おまえに今年のドラマスタッフ・オブ・ザ・イヤーをやってもいい! エンケンさん、お願いだから半年間みっちり出てくださいね。

あと、小雪の美しさは異常。あの額、細い首、白いうなじ、女の私でもそそられまくりなんですけど。演技力はそこそこでも、何といってもこの人の武器は、もの言いたげな憂いの表情。あの役似合ってるよなあ。