『不毛地帯』 松重豊を堪能

いやー、今日は松重豊・オン・ステージだったわ〜(死語・・・いいの、昭和の話だから!)

このドラマ、男たちの顔をかなりアップにすることが多いんだけど、遠藤憲一といい、阿部サダヲといい、この松重豊といい、唐沢寿明の端正さとは対照的なアクの強い顔立ちが作る表情が、たまらない。

今やテレビドラマでも映画でもバイプレーヤーとして欠かせない松重豊だが、長身と異相によって、ちょっとたたずんだり、少ないセリフを言うだけで独特の存在感をかもしだすアクセントとしての役どころが多い。あるいは、役者として世間に周知されるにしたがって、顔は怖いけど心はやさしい、みたいな役どころも増えてきた。どちらにしても、わりとわかりやすいというか、単純な役どころで、強い印象は残すけど、もったいないなーという使われ方も多かったと思う。

今回は、すごく襞のある役で、なんとも気味悪く、愚かで哀れ、かつ「でも見てる私たちって、ぜったい壱岐じゃなくて、小出(松重の役名)だよな、実際の世界では・・・」と思わせる男の姿がくっきり描かれてた。笑わせたり、ホロリとさせる役もいいけど、この役で呼ばれるのは役者冥利に違いない。マッチゲさん、張り切ってやっただろうな〜、この芝居。もちろん彼に限らず、演じがいのある役ばかり。

ドラマはどんどん動いている。完全無欠みたいだった唐沢寿明が、ああいうふうに弱い感情を爆発させるとはね。言っちゃいけないことを奥さんに言ってしまったなあ。でも、あれほど高潔な壱岐正でさえも、こんなことがあるんだから、長年連れ添う夫婦があんなふうに一線を越えて傷つけ合ってしまうことのあるのってって、避けがたいのかなあ。とか、しみじみ考えたりした。あのあと、ひとり台所でぬか床をかきまぜる妻・和久井映見の心境や、いかに。

来週の予告にもむっちゃテンション上がった。正義感あふれるギバオを犠牲にし、岸部一徳との間には不協和音が流れ、そーだ多部ちゃんは遠藤憲一の息子と清いおつきあいをしてるようだしね! 小雪の見合い相手、誰だった? 遠藤憲一の激昂シーンも映ってたよ。楽しみすぎる。

そういえば、マッチゲさんを尋問する刑事がバナナマン設楽だった。「流星の絆」に続いての刑事役。なぜ・・・。その評価の理由が、わかるようなわからないような・・・。