NHKドラマ『白洲次郎』

3月に第2話だけ見ていたので(しかもDVDに録ってるので5回は見た)、第1話と最終話=第3話を連休で視聴。とにかく、よく工夫されたドラマだった。工夫に、制作陣の意欲を感じた。
なんせ、3話それぞれにつけられたタイトルだけで興奮もの。
「カントリー・ジェントルマンへの道」
「1945年のクリスマス」
ラスプーチンの涙」
だもん。このサブタイトルが、日本語と英語、両方同時に浮かび上がってくる画面がまたかっこいい。

第1話では、次郎の英国留学時代を、古くて渋すぎる英曲を流しその詞をテロップで出しながら、さまざまな場面の写真で語る。第2話では、疎開中の河上徹太郎がおもちゃのピアノでクラシック音楽を弾き殴る。第3話では、西国巡礼の旅に出た正子の姿を、カヒミ・カリィ(!)が歌う「からたちの花」をバックに、モノクロ写真で描く。

白洲正子の描き方も面白かった。自身が強烈な個性をもっていることを随所で描きながら、同時にこのドラマの狂言まわし的役割を上手く担っていた。開戦や終戦のシーンでは、当時、正子が書いた日記の、散文のような文章を彼女に扮する中谷美紀に読ませたり、ラスト近く、西行法師についての彼女の著作の文章を、次郎の生涯と重ね合わせるように読ませたりする手法も、このドラマにしっくり合ってた。

次郎の故郷で歌われる、戦前の関西弁の教会音楽(というのかな?)や、戦前から『オイリー・ボーイ』といわれた自動車マニアの次郎にふさわしい、やかましいエンジン音を拭かせたメインテーマなどの印象的な音楽。全体的に黄みがかった画像の中でも、タバコの煙がもうもうと立ちこめる暗い政治の場と、多摩の白洲邸の眩しい緑。わかりやすく、かつ、わざとらしくないセンスでおさめられてたと思う。

ちょっと書ききれないのでとりあえずここで切ります。