『任侠ヘルパー』最終回 秀作!

機動隊との乱闘があったりする強引さも、「いや、そりゃまあ、最終回だから、これぐらい派手なシーンを作るよね」って理解できる範疇。アラサーとしては、かつての『ぼくらの七日間戦争』映画版を思い出したりしたしね。

いやー、面白いドラマだったなあ。ヘルパーの若者たち、最初は「なんて脆弱なキャスティング・・・」て思ったのに、途中からはひとりひとりにしっかり感情移入できて、それぞれかっこいいシーンもあったし、まったく、『天地人』の上田衆にも見習ってほしかった(既に過去形、笑)くらい、群像劇としても良かった。大事な最後の闘いの最中に、あの中でガチに一番強そうな宇梶さんが肺炎に感染中でヘロってるとことか、芸が細かい(笑)

与六=子ども店長の、現時点では間違いない天才子役ぶりとか、夏川結衣のさすがの憂いの演技とか、黒木メイサのわけのわからん迫力とかも良かったんだけど、やっぱり主演の草なぎくんの演技が、全編とにかく見ごたえあった。最近、ややもすると話題先行になりがちなSMAP(そして今クール、長瀬さんもだった。。。涙)の主演ドラマの中では、かなり地味な扱いを受けてたこのドラマだったと思うけど、最終的にはいちばんかっこよかったじゃないの。草なぎくんのドラマを見たのは初めてだったけど、演技力あるなあ。乱闘シーンの迫真の殴り合い蹴りあいはもとより、短いセリフや粗野な仕草、細かい表情ですごく「演技」してて、少しも見逃したくない感じだった。彼は役者だ。事務所うんぬんとか関係なく、彼と仕事をしたいという作り手は今後も絶えないだろう。

やたらと説明しすぎず、細かいニュアンスでしっかり説得力をもたせた脚本も素晴らしかった。強引に唇を奪った後、「おい、じゃねえだろ。カシラだろ」ていう、黒木メイサ@新幹部のスタンス。「今日は忘れちゃってるみたい」という子ども店長の一言で、そのころの夏川結衣の一進一退の病状と、子どもの前向きに現状を受け容れた姿勢を一気に表すテクニック。「私たち、これからどうなるんでしょうねえ」「やっぱりたらいまわしにされるんだよ。でも、今日は(機動隊との乱闘で)盛り上がってよかったねえ」という高齢者の言葉で、厳しい現実と、無邪気で人間らしい感情吐露を並列させるところなど。

役者の表情で語らせたり、ちょっと息抜きみたいなものを入れたり、スピーディなのに、短い無言の間で状況を表現する演出にも引き込まれた。各話で被介護者として登場した、津川雅彦竜雷太池内淳子のような大物俳優陣の演技はもちろん真に迫ってた。

役者の演技、脚本やカメラ、演出、音楽など、すべてが噛み合ってた気がする。この作中でのヤクザ者たちや、「タイヨウ」という介護の現場も、もちろんリアリティに欠けるところは多々あるんだろうけど、木曜の22時にやるドラマとして、ファンタジーと現実とのバランスが絶妙に成り立っていて、軽すぎず重すぎず、日常生活の中で違和感なく面白く見れつつ、問題提起がなされたと思う。私の親ももう60代半ばで、今は元気だとはいえ、やっぱりいつも、どこかが痛いとか抱えてたいする(なおかつ、高額な介護を受けられるほどの経済状況でもない)し、そうでなくても、今の日本に生きてて介護問題に無関心ではいられない人がほとんどだろう。ドラマの中では細かくカタルシスや萌えどころがあるので、エンターテイメントとして素直に見つつも、いろいろ考えさせられたり、覚悟させられたりもした。すごく意義あるドラマだったんじゃないかと思う。