小林よしのり『天皇論』、佐野眞一『新 忘れられた日本人』など

今日の日経新聞に広告が出ていたのもあって、小林よしのりの『天皇論』を買おうかどうか再び迷うが、本屋で手にとってみると(2度目)、やはり私にとってはとりたてて新鮮味のある内容でもなさそうなので、戻す。しかし、天皇の激務や、憲法に対する忠勤ぶり、平和への心からの祈り(祈りという言葉の静かなニュアンスとはあまりにもかけ離れた祈りの行動っぷり!)などを、あますところなく書き尽くしているこの本は、まさに小林よしのりの渾身の一作。

ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論

ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論

どうなんだろう、売れてるのかな? かつての『戦争論』と同じぐらいの影響力が出てるのだろうか。絵も文もびっしり書き込まれた紙面、メッセージ性の強すぎる彼の作風には、ちょっと見ただけで引いたり、嫌悪感を抱く人も多いだろうし、逆にまっさらな状態で彼の本を読んで、ある種の洗脳状態に陥る人もいるだろう。諸刃の剣のような鋭さ、怪しい魔力はあるので取り扱いに注意が必要な点もあるが、彼の本は「この世界のことを考える」入門書としてはとても優れていると思うので、ぜひ売れてもらって、いろんな波紋を投げかけてほしいものだと思う。それにしても小林の似顔絵はほんとに驚くほど似てるよねえ。

そのほか、『新 忘れられた日本人』と題された単行本が新刊コーナーに並んでおり、宮本常一が1960年に発表した『忘れられた日本人』にひどく感銘を受けた私としては、ちょっとその題ってズルくないかー?と思いながら手に取った。

新忘れられた日本人

新忘れられた日本人

目次を見た限り、特に今すぐ読みたいような気にはならなかったが、序章に宮本常一論のようなものがあってそれは面白かった。佐野眞一って名前だけはよく聞いてたけど、帰ってから調べたら、『旅する巨人─宮本常一渋沢敬三』という評論(?)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞してるらしい。いつかそっちのほうを読んでみたいものだ。

買ったのは、新潮文庫から出ている『白洲正子自伝』。8月にやっと放送される予定だったNHK制作ドラマ「白洲次郎」の第3話(最終回)は、きのう公式HPを見ると、衆議院選挙関係でNHKの番組編成が大幅に変更されたらしく、9月下旬の放送にまたも延期されてた。えーん。

白洲正子自伝 (新潮文庫)

白洲正子自伝 (新潮文庫)