2019.7.23「耕論」より 「長期政権 新たな人材遠ざける弊害も」牧原出

facebookより転載

SNSはどうしてもエコーチェンバー(自分と似たような価値観・意見ばかりが反響している)になりがち。「へぇ~」と思った新聞記事をメモります。

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・安倍政権は、衆院選のリセット効果をうまく利用して短い任期を積み重ねた「短期政権型の長期政権」

自民党にとって、今回議席を減らしたのは織り込み済みだろう

安倍晋三は、本質的には官僚システムの上に乗った政治家。
 国会でも官僚が用意したペーパーをそのまま読むだけだから話がかみ合わなくなってしまう。
「首相主導」が貫徹されていた小泉政権とはかなり異なる。

・安倍政権は時間をかけて政府の政策の幅を広げてきた。
 安保法制も、集団的自衛権を実際に行使するかはともかく、政府のオプション(選択肢)を増やしたという意味合いが大きい。

参院選憲法改正をほとんど争点にしなかったのは、改憲作業の重さを政権もわかっているから。

 ただ、3分の2の議席数をとれなかった = 改正の発議は無理 だからこそ、ポーズとして憲法改正を前面に押し出すかもしれない。政権末期の求心力を維持するため。

・また、改憲のために衆院で3分の2の議席を確保する必要がなくなったため、より身軽に解散できるようになった。

 
・新潟選挙区の打越さくら氏のように、統一候補なら勝てるということになれば、今後、有望な人材が野党に集まる可能性がある。

・反対に、与党は現職を外せないから新しい人材が入ってくる余地がない。自民党の「動脈硬化」は進みつつある。長期政権で選挙に勝ち続けてきた弊害が見え始めた選挙だった。

・とはいえ、立憲民主党の前途は多難。政権に近づくには共産党を引き入れるしかない = ある程度左に寄らざるを得ないが、その後どうやってウィングを中道さらに右に伸ばすか?

・しかも今回、れいわ新選組が大きな注目を集め、(立憲は)埋没する可能性もある。

・安倍政権が解散・衆院選を断行するかどうかは、消費増税後の経済がどうなるかにかかってくるだろう。

(2019.7.23 朝日)
(牧原出(いづる) 東京大学先端科学技術研究センター教授)