睦月の七 / プレゼン「みんなの歴史勉強会」

●1月某日:
ワークライフバランスプレゼン勉強会にてプレゼンターをつとめました。
テーマは【みんなの歴史勉強会 ~歴史を参照して 「今」 「未来」を考える
あたたかく聞いていただき、さまざまなご意見をいただき、大変勉強になりました あと2時間くらい、みなさんのお話を拝聴したかったですが~~

この勉強会は7回目になりますが、当然ながら参加者が違えばご意見ご感想も違います。だから無限に開催したい(笑) 

今回、ご参加者が男女同数(パリテ)、年代も比較的ばらけていたのもよかったです! 
同質性の高い場では本音が出やすくてそれもいいけれど、やはり異質な人同士で伝え合っていく必要がありますね。

ご参加者のお一人(60代の男性)が『火垂るの墓』を「知らない」とおっしゃって驚きましたが、考えてみれば私の父親もきっと知らない(笑)。そんなことにも今回初めて思い至りました。
(もちろん、この年代の方は、私たちが知らない戦争の話を知っておられます。)

知らないから、分かり合えない。否定から入ってしまう。
知ってみれば、目からウロコ。そんなことがたくさんありますよね。
知れば人間は、何か感じたり考えたりする。
その中身はいろいろでいいし、揺らいでいいと思うんですよね。

ディスカッションで
「昭和初期の中国への進出は、侵略か、そうでないか?」
という話がちょっと出ましたが、それ1つとっても、いろいろな本を読めば読むほど、いろいろな意見を知れば知るほど、正解は何なのかわからなくなります。
大切なのは、簡単に結論を出さず、考え続けること。そして「今はこう思う」と対話し続けることではないでしょうか。

子どもに対しても、親が自分の言葉で語ることがキモだと思っています。
たとえ知識が少なくても、確固たる考えが持てなくても、親の言葉の背景には数十年分のリアルな人生経験がありますから、「今はこう思う」と折に触れて話してゆけば、子どもの心のどこかに必ず残る。それが、子どもが将来、自分自身で考える材料の一つになると思うのです。

歴史は現在の政治や社会についてよりも、むしろ語りやすいと思います。なぜなら、なんだかんだ言って、少なくとも自分が成人する前の出来事には責任を持たなくていいからです。

大日本帝国の過ちに対して私たちが罪悪感を持つ必要はなく、その栄光が私たちを彩るわけでもありません。
だから少なくとも国内では大いに語ればいいと思うんですよね。半藤一利あたりが、学者や元・軍人や元・政治家・その子孫など、右から左までてんで立ち位置の違う人たちを集めた座談会の本を昔からよく作っていますが、みんな実に好き勝手に、楽しそうに語ってますよ(笑)。

いろんな意見を取り入れながら自分の考えを作っていけばいいと思います。子どもたちにもそうなってほしい。

古今東西あらゆる歴史が教えてくれるのが
【権力は、放置すれば必ず既得権益化し、腐敗し、暴走する】こと。

だから、国にせよ民間にせよ、権力に対しては透明性やチェック機能を確保して監視しなければならない。
(公文書を改ざんし国会で虚偽答弁をした現政権が民主主義のトップに値しないと思うのはそれが理由です。インパール作戦ノモンハン戦争を始め、責任の所在がうやむやになるのは日本の悪い伝統ですが…)

権力を腐敗・暴走させないために憲法があり、立法や行政の手続きがあり、野党やメディアが存在し、そして何より私たち1人1人が選挙権を持っています。

日本では、家族や友人間でもなかなか話題にしないことがいろいろあります。話題にしなければ、知ることもなく、考えもしませんよね。
だから、「場を作る」ことが大事だと思います。
イイ感じの場があれば、みなさん、いろいろなお話をしてくれます。
今回も貴重なご意見をたくさんうかがうことができました。

この勉強会に初めて参加してくださった方々も、
「普段はできない話ができて面白い」
「大人の寺子屋みたい」
とおっしゃってくださいました。ありがとうございます!

2週間後に、APU立命館アジア太平洋大学の学長(ライフネット生命創業者)出口治明さんをご講演にお招きしています。
著作のタイトルを見てもわかるとおり、歴史にとーーーってもお詳しい出口さんが思う、昭和の戦争から得られる教訓とは? 一端をご紹介しますね。

満州事変において、国際連盟は実はかなり日本に譲歩していた(リットン報告書)し、日本の新聞記者たちはその内容をきちんと理解していた。
なのに実際は各紙とも連盟を徹底的に批判する記事を出す。それは国民が満州事変を支持し、連盟を非難していたから。ひとたび世論が沸騰すると、メディアは世論に縛られた記事しか出せなくなる。
だから、記者が「こうだ」と思ったらその通りに書けるようなシステムを作らなければならない。優秀な人はいる、しかしその判断が組織の意思決定に反映されないのはなぜか? 現代日本にも通じる大きな問題。

●海軍大将、山本五十六が対米戦について「半年、一年は存分に暴れてご覧に入れます。しかし二年、三年となっては全く確信は持てません」と言った有名なエピソード。名将は国家の体力を見極めていた(しかし日本はズルズルと戦争を続けた)。経営者や指導者は、全体最適を考えて適切な歯止めをかけなければならない。できることとできないことを弁えて、グランドデザインを描かなければ。
(『大人のための昭和史入門』第1章 特別座談会 「世界史の中の昭和史」より)

ディスカッションで出た個別のテーマについても触れていきたいのですが、例によって長文になっているので、とりあえずここまでで! ご参加ありがとうございました。歴史勉強会、興味のある方はお問い合わせください😊

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夜ごはんは、ブリカマの塩焼き&バジルグリル。鶏と野菜のトマト煮。もやし。お正月にやってた『出川哲朗の充電させてもらえませんか』を見る。家族してこれ結構好き。