『獣になれない私たち』 7話

f:id:emitemit:20181206215345j:plain

シスターフッドが花開き始めている・・・!

6話の、呉羽から晶へのハグと「疲れちゃうね」。ぐっときた。

7話の呉羽は「晶に許してもらうために」ハグをする。ハグされる側の晶が、呉羽に与えている温もりがきっとある。甘えた調子の朱里がかわいい。ハグを受け入れられたあとも、「隣に座っていい?」と晶に確かめてから座っている。傍若無人に見える呉羽のもう1つの顔。

思えば、京谷を誘ったのも、術後最初のセックスってのが念頭にあったんだよね。不安を伴うセックスは、夫のタチバナカイジとも、恒星ともできなかった呉羽。

7話、晶から千春へのハグもすごくよかった。呉羽からもらったハグが心地よかったから、晶はきっと千春をハグしたんだと思う。ハグのリレーだよね。

夫は死んでしまうかもしれない、その恐怖に千春は1人で耐えてきたのだと、晶が兄弟に言う。兄は、弟とその彼女の痴話喧嘩だととらえている。違うのだ。晶はすでに京谷との別れを決意している。同じ女だから、心底から千春を庇うのだ。

晶から朱里に渡されたビールも、ハグの変形というかハグへの一歩だったんだろう。

晶 「京谷に出会う順番が違ったら私があなたになってた。京谷は目の前で苦しむあなたが重くて私に逃げた。私は愛されるために、かわいくて一生懸命な女であろうとした」 

朱里「私はあなたになれないから、より可愛くない女になってやった」 

晶 「私たち、誰の人生を生きてるんだろうね」

(そのままのセリフではなく、うろ覚えの大意です…)


京谷に出会うまで、愛された経験がなかった晶は京谷に愛されるために演じて耐えてきた。行くあてのない朱里は、居場所を失わないためにどんなに幻滅されてもマンションを出なかった。生きていくために、自分を売り渡してしまうことがある女の人生・・・。

そして、恋人の心を踏みにじる男。朱里をずっと住まわせてきたことには罪悪感を覚えいても、「最近の晶、かわいくない」なんて言葉はなんのためらいもなく言う。その言葉に、気弱で晶を女神と崇めるような後輩男子・上野まで同意するところに、京谷にしろ後輩にしろ、多くの男性が無意識に内面化しているミソジニーがのぞく。京谷の後輩、筧はそれを隠そうともしない。彼の場合、ミソジニーにプラスして自由主義的合理主義にも侵されている。

今回は、京谷の描き方にもちょっとハッとした。

「結婚して子どもを持ちたい。責任をとるとは結婚すること。妻子を養うために働くのが男の役目。父のように・・・。」 

そんな思考回路が、上司・橋爪部長との会話で露呈する。それは必ずしも京谷のせいではない。そんなロールモデルしか持てずに育ってきた男性は山ほどいるということだろう。それに異を唱える上司が「バツ2」という設定も面白い。彼は何度も失敗することで固定観念に気づき、人間的に練れたのだろう。

京谷の「最近の晶、かわいくない」を立ち聞きしてた松任谷さんが、「うっさいわ! かわいくなくて何が悪いんじゃボケ!」 その松任谷の言葉を立ち聞きしてた晶が、京谷に向かってその言葉をそのまま投げる。朝ドラ脚本家もびっくりの、華麗な立ち聞きパスからのシュート!

ヒロインの別れ話でこんなに晴れ晴れするドラマ、ひっさしぶりでは? 京谷の私服がめっちゃかわいかったのがまた、なんか切なくてね。だがしょうがないw

恒星の事情に今んとこ全然興味がもてないんだけどw 税理士や会計士として、人の会社の財務諸表や申告書をチェックして評価するような、まさに「他人のふんどしで相撲を取る」のを生業にしてる彼が、人の恋路に首を突っ込んであーだこーだ言うのはなんとなくわかるw そして京谷に殴られたり朱里にビールをかけられたりしているわけだw 

晶に関しては、2話で破産寸前の八嶋智人を簡単に退けようとしたように、他人事だと割り切れないんだよね。彼女の在り方にどこか痛痒を感じているから口を出してしまうんだろう。いつまでも涼しい顔してはいられないってことですね、この人も。

emitemit.hatenablog.com