『西郷どん』 27話「西郷、京へ」~32話「薩長同盟」まで見ました

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現代の作家の解釈と思想で歴史を編む、という過去2年「真田丸」「おんな城主直虎」のような点ではまったく期待できないので、録画もたまりがちにはなっているものの、細々と視聴続けております。

歴史部分は、名場面を切り取るダイジェストのような感覚で見ています。というか、そういうつもりで作ってあるのかも? 

薩長同盟」なんかも、脚本のライトでカジュアルでシンプル(悪く言えば安直さw)は『篤姫』の薩長同盟と大差ないんですが、『西郷どん』では、そこはかとなく奥行きを感じる。俳優たちが、テレビに映し出される場面以外でも、こういうキャラクターで生きてるんだろうな~っていう人生を背負った芝居をしていて、それがぶつかり合っていると感じる。メインの役者たちの熟し方が幕末の志士を演じるのにちょうどいいというか。鈴木亮平瑛太小栗旬玉山鉄二北村有起哉も、あの出番とあの脚本で大山にあの肉付けはすばらしいぞ! さすがユッキーヤ!!

そしてね、このドラマは、「大久保一蔵の、西郷ラブの物語」として一級品なんですよ!!! タイトルも、『西郷どん』ではなく『吉之助さぁ』にすればいい!!!

幕府も長州も、坂本龍馬さえも大久保の愛のガソリンでしかない。尊い瑛太すばらしい。

やむをえず、下関ではなく京に出たがために長州との同盟の道が断たれ、龍馬に罵られて落ち込む吉之助(31話)。そこで大久保、「仕方がなか。天が味方せんときは、おいが味方してやる」ですよ。吉之助ががっくりきてると、「おいの出番たい」とばかりに妙に眉宇を明るくする一蔵w 吉之助のためならクールさのかけらもなく奔走する一蔵。吉之助が先に頭を下げれば、プライドをかなぐり捨てて躊躇なく共に頭を下げる一蔵。一蔵かわいいよ一蔵。ちぇすとおおおおお!!!

んで、鈴木亮平の西郷が、一蔵に激烈に愛されるのがよくわかる、鷹揚さと純朴さとそこはかとない鈍感さなのだよねえ。志士としての能力とかもはや二の次。大久保と西郷の愛に説得力があればもうそれでいいよ! ほんと、大久保が一途すぎて私の中の腐女子がめざめそうになる。

こんな2人にいずれ別れの日がくるのだと思うだけで、ああッ・・・!てなるもん。

龍馬が薩摩の吉之助んちに行く回。「家の雨漏りより、日本の雨漏り」っていう有名な逸話を、「家の雨漏りを治しつつ日本の雨漏りについて龍馬と語り合う」というエピにアレンジしてたのが、微妙に面白かったw 

小松帯刀が大久保に同意したり、大久保が小松帯刀に同調したりすると、「さすが一心同体…」って思っちゃうw この大久保の前世だもんねw それにしても、今作の小松は『篤姫』で瑛太が演じたのよりもすっきりとした、頭の良さそうないい男ぶりで面白い。

瑛太も小栗も玉山も、若い時に大河をやって「民放ドラマみたい…」とか「頭が動きすぎ…」とか言われたりもしてたけど、30代半ばになって押しも押されぬ大河俳優のたたずまいになっていて、大河ファンとしては本当に感激です!!! そう思うと、脚本の物足りなさは惜しいけどね。龍馬も桂も、なんだかんだ言うて西郷age要員だからな~。

鶴瓶の岩倉は、けっこう面白く見てる。西郷と決別するあたりからの慶喜の造形はちゃんちゃら薄っぺらくて、松田翔太に頼りすぎだろと思える。ふきちゃんこと高梨臨ちゃんのおよしも、いいキャラだったのになんか安易に暗くなっちゃったようで淋しい。