『西郷どん』 第21話 「別れの唄」

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歴史の流れを知らなかったとしても、まぁここで島に残るはずないよね、ってわかるわけで、「わかりきったあらすじをどういう展開で見せるか?」という回だと思うんだけど、驚くほどひねらない!! 展開が少ない!!
でも、じわっと感動しちゃう。

瑛太二階堂ふみがよかった。
黒い石が似合うようになった一蔵でも、吉之助さぁに会えるのはうれしくて仕方ないって顔。そして、愛加那に、誠実にまっすぐに「返してたもんせ」と言って頭を下げる。その様子がマウントするでも愛想を振りまくでもなく真摯で、しかも迷いなかったからこそ、愛加那にはこたえたんだと思う。

愛加那の様子が変だと言って鷹揚に笑い、歌を促す吉之助。でも、本当は様子が変・・・というか変わったのは吉之助だったのだと、「旦那様の心はもう薩摩にいる」と看破したからこそ愛加那は平静ではいられなかったのだというのが、唯一、作劇のひねりと言えばひねりだろうか。

愛加那に促され、佐民にも促され、自分で決めてないよねってところが吉之助の狡さのようにも思えるけど、そうやっておぜん立てされてしまうのが器量ともいえるし、そういう人生だったのかなーとも思う。

「さいごう きちのすけさまー!!」 この大音声のために柄本明をキャスティングしたのかな、って思える見事な一言だった。

で、どうでもいいけどお腹に赤ちゃんがいる人を海に入らせないで!!!!!!
って、全国の視聴者(特に経産婦)が叫んだよね!
絵は美しかったけどさあ~。

それにしたって二階堂ふみの存在感と歌がすばらしい・・・・・昔Coccoに『強く儚いものたち』という歌があったけど、“強く儚い” って形容がぴったりの造形。
大きな鈴木亮平とのミスマッチなバランスもとてもいい。
というか大きな鈴木亮平がいい。

最後、この若さで寡婦も同然になった愛加那が、なぜ笑顔を取り戻し、島の大地に根を張って力強く生きられるのか。その理由をドラマは語らない。そういうところで変な説明付けをしないのはこのドラマの美点だと思う。芝居と映像が見せているもので十分だとして、あとは視聴者にゆだねている。

西田敏行の「愛加那、ちぇすと!」がよかった。このドラマのナレーションはいったいどういう位置づけなのかよくわかんないけど、そのむかし西郷だった西田敏行が愛加那に「ちぇすと!」と言ってくれてよかった・・・という謎の感動がw