『おんな城主直虎』 第7話 「検地がやってきた」
鶴=政次の目線から:
直親「俺は隠したいけど、小野は難しい立場。おまえが決めてくれ」
(俺の料簡を読んで先回りしおって!ふんぬ)
玄番「小野を思いやってくれた人は初めて。直親さまは兄上を信じてる。竹馬の友っていいなあ!」
(え・・・そうなの・・・そういうこと・・・?俺が曲がってるだけ・・・?)
「隠し里の帳簿は破り捨てました」
直親「但馬、恩に着る!」
井戸に祈願「俺の思っているように事が運びますように(・・・直親は俺を信じているんだ、俺はそう思う!信じる! 信じてくれていますように・・・!)」
おとわ「鶴! 亀の言う通りにしてやって! 我の自主的な願い!」
「ちっとも俺の気持ちにはなってくれないんだね。俺、亀のせいで2回も煮え湯のんだよ?
このうえ頼み事するってんなら、君たちも何か差し出して? そーだ、おとわそのものを差し出して? できるの?え?」
おとわ「・・・・・・」
「覚悟がないなら経でも読んでろ」
岩松「この里はなんだ!」
(・・・やばい・・・井伊を守らねば、こうなったら俺が・・・)
直親「私は知りません。但馬、どーゆーことだ、おまえが作った帳簿にもなかったな?」
(え・・・何それ・・・最初から小野をトカゲの尻尾切りにするつもり・・・? 信じた俺がばかだったの・・・?)
「(涙目)この里はかつて南朝の皇子さまが・・・」
直親「裏帳簿、どうするつもりだったんだ」
「好きに推測してください」
直親「怒ってるのか」
「俺を信じないのは別にいいけど、信じてるふりをされるのは気分悪い」
直親「おとわのためと思って力を合わせて井伊を守ろうよ」
「おまえのそういうとこ好かん」
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
亀=直親の目線から:
(そうか・・・・この隠れ里は、井伊の最後の砦・・・井伊にとって必要なもの・・・)
「次郎、今川の友だちに検地奉行の弱点聞いてみて。よろしくね。竜宮小僧!」
(次郎は誰より井伊のことを守りたいと思ってるし、大事な友だから、一緒に立ち向かってくれるよね。。。。)
「鶴、俺は隠したいけど、小野は難しい立場。おまえが決めてくれ」
(鶴はきっと俺と同じ心のはず・・・互いに父みたいになりたくないし、それにおとわのこと=井伊のことも守りたいだろうし、大事な友だから、いいよね。。。」
政次「隠し里の帳簿は破り捨てました」
「但馬、恩に着る!」(やっぱりそうくるよね!!)
(やべえ。。。岩松てごわい。。。)
おとわ「政次の様子はどう? 微妙な祈願してたけど」
(え・・・もしや政次は。。。土壇場で裏切る気じゃ・・・)
岩松「この里はなんだ!」
懐を探る政次
(え! 鶴、破り捨ててなかったんけ?! 一人だけうまく逃げる気か?! 違うよな? おまえなら切り抜けてくれるよな? どっちだ?!)
「但馬、どーゆーことだ、おまえが作った帳簿にもなかったよな?」
「怒ってるのか」
政次「俺を信じないのは別にいいけど、信じてるふりをされるのは気分悪い」
「おとわのためと思って力を合わせて井伊を守ろうぜ」
政次「おまえのそういうとこ好かん」
(なぜだ・・・俺はおまえを信じてたんだ、おまえのほうが先に裏切る気だったんじゃないのか・・・? それにおとわのこと好きなんだろ・・・? だったら井伊を守らなきゃ・・・俺、間違ったこと何も言うてないじゃないか・・・)
◆
こうしてみると、
・政次→直親に対して: 不信 → 信じてみるか →(おとわにイラッ!)→ やっぱり信じてないんじゃねーか!
・直親→政次に対して: きっと気持ちは一緒 → え、もしかして違う? → 一緒に働きたいんだけど、なんで怒る・・・?
ちょうど反転する心情が進行してたのかな。
思うに、3人とも、幼なじみに対して甘えがあるのだろうなと。
おとわは、政次の心情に疎いという甘え。子どもの頃からそうだったね。亀のほうが弱くて、助けてあげなきゃと思ってて、強くて賢い鶴は大丈夫だと無意識に思ってるような。
政次は、そんなおとわに対して、彼女に負わせるべきでない部分の怒りや鬱憤までぶつけてしまう。これも、昔からそうだったね。「何の覚悟もないくせに」って、それやっぱりおとわに言うのひどいよ。でも、おとわにだから言っちゃうんだよね。本当は、おとわには自分の気持ちをわかってほしいし、おとわなら失言も受け止めてくれると無意識に思ってるような。
直親は、おとわにも政次にも甘えてる。「井伊を守るため」という大義があるんだし、幼なじみなんだから、昔の感覚で気軽に頼んでいいと思ってる。きっと応えてくれると信じたがっている。でも子どもの頃に運命が暗転して、世の中の怖さ冷たさも知っていて、知らず知らずのうちに保身第一になったりするのかも。そして、基本的に、昔から「自分自分」の子だ。
でも、言うてもまだこの子たち、ハタチやそこらなんでしょ。10歳くらいまでは幼なじみとしての関係がほぼすべてだったんだし、それからはずっと離れていたんだし(おとわは出家の身、政次との間にも距離はあったよね)、何よりまだ若いんだもん、人間関係そんなにドライにビジネスライクにいかないよな。
幼なじみだと思えばフラットな3人。だけど現実には、主従とか、男女とか、配偶者がいるとか、いろんなしがらみができている。そのバランスの取り方、線の引き方、過不足のない振る舞い方を最初から上手にできるほうがおかしいんじゃないでしょうか。戦国の、井伊でなくても、若い頃って特に、無作法に、残酷に、傷つけあうものだよ。
ってことで、青い3人が楽しみです。政次、どんどんキレろ。我慢しちゃいかん!
しかしねー、直親の、「お前の思う通りにやれ。俺が責任取る」とは真逆の態度は、悪気は全くないんだと思うけど、上に立つ者の器じゃないってことを如実に示してましたよね。きっとそれができるのは、“女子にこそあれ次郎法師”の人なんだろうなー。
「政次と俺は、互いに“父のようにはならない”と思っているはずだ」という述懐には、オオッでしたね。直親は、自分の父のようになりたくない、なってはいけないと思っているのだ。彼のひとつの人生哲学を見ました。そして、政次もそうだろう、と思っている。前々回には、「おまえもおとわを嫁にしたいと思っていた(ことがあるはず)だろう」と言っていた。亀と鶴の2人にだけ通じる思いってやつもあるんだよね。だからこそこじれる。いいよいいよー
ツイートもしたけど、検地という戦国の実務の流れをベースに組み立てられた人間関係や感情のもつれという作劇がめっちゃ好みだった。
ほんのちょっとしか出てこない竹千代パートの屹立した存在感! 菜々緒さんはセリフ回しにはちょっとドキドキするものの、きつい顔ときつい所作がすごくいい。