読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『おんな城主 直虎』 第1話 「井伊谷の少女」

f:id:emitemit:20170109220807j:plain

 

始まりましたね、2017年! 今年は、知名度が低いどころか一次史料の真偽もさだかでないらしい(よく知りません)女主人公ですが、乏しい資料を読み込んで咀嚼する能力が高く、しかも過去作で独特の骨太い人生観を提示してきた森下佳子作品(しかもPも同じ)ということで期待しています。

久しぶりに子役時代をじっくり1ヶ月ほどかけて描くようで、基本的に子役にさほど興味はないんですが、とにかく構成・プロットの固い作家なのでいずれ必然性を感じるんだろうなと。1話については「これなら拡大せず45分でよかったんじゃないの?」という意見もわかるけどねw




子どもたちの名前は、すべて史料からきてるんですかね? 鶴、亀、とわ。「とわ」には「永遠」という漢字をあてることがあるよね。長寿というか、永い時間を感じさせる名前でそろえてある。そんな固有名詞への目配りにもさることながら、この親にしてこの子あり、という性格設定に唸る。

一生懸命に中小企業経営してるけど根はアバウトみたいな父親と、賢夫人ゆえに「いずれ大人にならなきゃいけないんだから今は放置」という方針の母親をもつおとわは、難しいことを考えるたちではなく井伊の姫である自分の立場に無頓着(だけど事の本質を掴める賢さは母譲りか)。今川寄り=“情より合理”で怜悧な父を持つ鶴丸は、父が家中で嫌われやすい位置にあると悟ったり、それを受け容れるしかないと思う賢さや「理」が勝つ部分をもっている。生まれつき体の弱い亀之丞は、それをコンプレックスに思いつつも、いわゆる脳筋で子煩悩な父に楽観的に育てられているのでどこか単純。

なんたって、「亀は愛され気質だけどホントは負けん気でよい男じゃ」云々、「我が亀の代わりに馬にも乗り、太刀も佩き」云々の長セリフを、

(おとわちゃんってこんなに語彙豊かに喋れる子なのね、でも「我が○○してやる、だからそんなこというなーっ!!」って、いかにも柴咲コウちゃんに似合いそうな言い回しだな…)

って思いながら割と冷静に見てたら、 「おとわが俺の竜宮小僧になってくれるのか?」っていうレスポンスで、びっくらこきました。おいおい、亀ちゃんw そこはふつうなら、「おとわ、ありがとう! 俺がんばる。おとわのため、井伊のために誰よりも強い男になる・・・!」って武者震いするターンでしょ?ww

感動してそのまま他力本願になっちゃう。無邪気な亀ちゃんのヒロイン気質がすごくよくわかる場面だったよね…そしてその違和感に全く気付かずがんばっちゃうんだろう、おとわの気質もな。

しかし一番ぐっときたシーンは、鶴丸がおとわを詰るところです。「(前略)おまえは姫だから、周りの者は逆らえぬ! そういうことを少しは 考えろと言うておるのじゃ。ばーか!」ここの長セリフが、ほんと森下さんらしくてねえ。ヒロインだろうがその相手役だろうが、未熟さや欠落を容赦なく突きつけられるんだよね。

で、ここで激昂するのは鶴丸のもどかしさ、葛藤のあらわれでもあるんだよね。たぶん飼葉をあげたりしてやってたのは鶴丸なんだよね? 竜宮小僧探しにも最初から「はぁ?」って顔してたし。鶴はとわが好きだからいつも見守っていて、でも亀も好きだし、家中の序列や、父の立ち位置もわかっているから、2人の婚約も仕方がないよなあと思っていて、そうやって大人の世界の道理を飲みこもうとしている自分に対して、とわが無邪気なばかりの子供の世界に留まってるのがいらつくんだよね。

なおかつ、「亀はホントは体がきついのにがんばってるんだ、気づけよ」の背後に、「俺はホントはつらいのにがんばってるんだ、気づけよ」を感じる。それを誰にも気づいてもらえない鶴丸は、父親にでも、亀にでもなく、おとわにそれをぶつけちゃうたちなの。くーっ(悶) で、その、鶴の言葉にならない思いはとわにも、亀にも全然伝わってないんだよ。あああああ。

ここの激昂はもちろん、小林颯くん、この回を通してすばらしい演技・・・! 彼の演技が見られるだけで子役編を楽しめそうです。昨年のチャグム(@精霊の守り人)のときはさほど感じなかったんだけど、すごい子役さんですね。



大人たちの態度は、上記ツイートが印象的でした。おとわの父と母、南渓和尚。子どもだからといって状況を隠したり歪めて伝えたりすることには、何のメリットもないという感覚なんだろうなあ。とてもシビアだけど、納得のいく態度でした。世の中は厳しいし、人にはそれぞれ運命ってものがあるけど、できる限りの手を子どもたちのために尽くすよ、という態度。

寿桂尼さまやら築山御前(瀬名、ですかね。今作での名は)が出てくるのが楽しみです。そしてムロ!! 予告の出オチ感すごっ!ww