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『真田丸』 第3話 「策略」

大河ドラマ

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あらすじとしては、武田が滅亡し、真田の帰属はまだ決まらないどころか信長に会えてすらない、お話が進まない回のようでいて、すごく面白くて45分があっというま。

漢字2文字、それだけ見ると味も素っ気もないようなサブタイトルが、わずか3回目にして全面的に信頼できる。見る前は「今日は『策略』かー。どんな策略なんだろ」ってわくわくするし、見終わったあとは「まさに策略だった! 今日のサブタイトルはこれしかない!」と思える。サブタイトルがOPの最後に出てくるのもとても新鮮で、かつ、「さあ始めるよ!いくぞー!」と視聴者の熱を煽るような作り手の自信を感じる。私、クレジット厨&サブタイトル厨で、サブタイトルがこけおどしだったり、内容と合ってないとぶちぶち文句言うんですが、今作は今のところ、その点でも最高です!!

なんか今作って一部で退行扱いされてるようだけど、私は工夫の方向としてかなり納得いってるんだよな。もちろんまだたった3話の時点での感触ですが。プログレッシブカメラとコーンスターチの嵐が悪いとはいわないけど、演出は脚本や作風とセットなわけで、なんでもかんでも清盛とか龍馬伝みたいな撮り方すりゃいいってわけじゃないと思いますね。

さて、岩櫃城から真田の里に帰ってきた一行。岩櫃は武田の城を任されていたのであって、もともとの真田領ではないんですね。真田領、小県(ちいさがた)。武田モノには必ず出て来る地名です。いろんな作品で見てきたから一度も行ったことないのにものすごい親しみを覚える、木曽とか佐久とか小県(笑)。

帰ってきた一行を見る農民たちが笑顔。真田は自領で善政を敷いているようですね。きり(長澤まさみ)もすごくいい顔で列を見ていて、気づいた信繁も笑顔を返します。最初からいい関係っぽいなと思いきや、信繁のお目当ては野良仕事に励んでいるらしいうめ(黒木華)です。黒木華、野良着姿にひとかけらの違和感もない! さすが!




大河ドラマの主人公の初恋では、「けなげでかわいい娘っこに出会う(たいてい身分は自分より低い)→両想い→娘っこが病気または戦争で死ぬ→史実の結婚相手に出会う」というパターンが妙に多く、うめもそのパターンかと見せといてそこは三谷さん、ひと捻りありそうで楽しみ。「ずいぶん扱いが違うんですねぇ」とその場で言って山にまでついていったあげく(でも争闘には参加しない)おぶってもらう、変にじめじめしてないきりがいい。「へー、これは、薪を乾かしてるのね」ってどうでもいい独り言がおかしかった(笑)。

なにげないシーンを重ねているように見えて、「軍議に出られない半人前の次男坊だから、百姓の入会地争いにも気軽についていく」という順番で描いてる。



野良仕事が本分みたいな家でも、当たり前のように武器を持ち出して、武器らしい武器がなくてもなけなしの角材やら箒やらででも戦うのが戦国時代・・・というか中世。自力解決できなくなったら領主層が出ていくのも信繁のセリフでわかりますね。




国衆の描写いいよねー! 燃える! 三傑クラスの大名とはレベルが違いすぎるのに、謎の主人公属性であっさり気に入られて(あるいは妙に敵視されて)…みたいな描写に留まる大河も少なくない中、このドラマの真田は「まずは国衆」なんですよ。彼らは小さな領地の領主に過ぎないけれど基本的に独立した存在で、必要に応じて大名家に従属して自領の安堵をはかる。でも従属は従属先への経済的・軍事的負担を求められもするし、武田に従属してたら武田が滅びちゃって織田が攻めてくるーってなったりするわけだから、どこにつくかは大問題。従属するにしてもできるだけ良い条件に持ち込みたいところ、そのために価値つり上げ&結束した国衆たちの親玉感を出したい・・・

ってことで、国衆会議の決裂や、その後の昌幸の策略になるわけで、信幸さんホントおつかれさまです。室賀以上に昌幸に翻弄されているではないかw 



信幸が嗚咽してると、ちゃんと気づいて心配そうにのぞいてたしね。でも、声をかけるまでには至らず、「来るな」と言われればそれに従ってしまう。あのお嫁さんが悪い人じゃないからこそつらい部分もあるんだよな。つーことは、小松殿は「真田の嫡男」なんて信幸のプライド、一笑に付すようなキャラなのかもしれない、それで彼は救われつつも随所で別の苦労を・・・いや知らんのだけど妄想で既に楽しい。ああ楽しみw



木村佳乃の演技は賛否はっきり分かれてるようだけど、私は好き。この気性の松にここまで迷いなく慕われ庇われる茂誠って、能力はともあれ愛すべき男なんだろうなーってのがすごいわかる。松といい信幸といい、薫も含めて、既婚者萌えーなドラマだ。小松殿とのラブロマ(あるのか?)にしても1人目なのか2人目なのかで全然違うよってな!!(何がだよwゲスww)



「四郎をたっぷり叱ってくださいませ」の勝頼。「それほど好かれてないのかも」の信幸。父への尊敬や、能力的に並びたい・超えたいっていうだけじゃなくて、「愛情」を最初から打ち出してくる。肉親の愛憎劇は大河の定番であり、羨望と嫉妬って三谷さんの作風と相性いいんだよなー。

で、いっぽうの信繁ですよ。この、気のいいのんき者(笑)。叔父の信尹と仲良し、よその国衆の出浦と仲良し、堀田作兵衛とも仲良し。うめにもきりにも心を寄せられていて、対人面めっちゃ強そう。でも、それは「蚊帳の外でヒマしてる次男坊だから」って面がちゃんと書かれてる。信尹の存在も良い。長きにわたって上杉・北条とひそかに交渉を続けてきた。兄の影の手足であり、表立った活躍や評価とは無縁。けれど彼自身はそんな自分に矜持をもっている。信繁は彼をロールモデルにしている。たまたま次男に生まれついたから、そして兄が好きだから。

信繁は今のところ、兄にも父にも、誰に対しても屈折した気持ちがないように見える。戦国武将システム的には「長男が光で次男が影」だけど、兄弟のメンタルは「長男が影で次男が光」として描くのか? でも何の屈託もないままいくわけはないよね。



でも、「芝居ができない信幸を、とてもじゃないけど信長のもとになんて連れていけない」ってのもあるんだよね、きっと(笑)。いやいや、信幸さんには元気にがんばってほしいもんです。「嫡男だから我慢しよう!」って割とおめでたい(いい意味よ)メンタルで安心しました。舅との邂逅とか楽しみでならん(笑)。苦労性っぽい信幸さんだけど有能さもちゃんと描くのは初回2回でわかってるから安心できますね。




国衆レベルの出浦をあんなにかっこよくしといて、三傑どーすんの!って思っちゃうんだけど、三傑はちゃんと傑物らしく、かつオリジナリティある造型で描けるのが三谷幸喜。「残党に会うかもしれないから出たくない」とか言って、いざ出てきたら物凄い怯えようで(この内野さんのリアクションww)、けど身の安全が確保されたら鷹揚に解放してやる。勝頼の首談義のあとだから、「残党に慈悲深い家康公」像を流布させるのが目的だとわかりますね。先週の穴山に続いて、そういう芝居はとりわけ立派にこなすわけです。

そう、昌幸はもちろん、出浦にしろ家康にしろ、「芝居ができる」のは戦国を生き残るひとつの能力。でも「芝居ができない」タイプの描き方も楽しみですね。信幸は芝居ができない、信繁は今のところ未知数。信長は芝居だとバレたら相当キレそうですよね。あと気になるのが秀吉。今回、信長を迎えるために家康があれこれ細かく気を遣ってたけど、あれって秀吉的な描写でもあるでしょ。秀吉はどうなのかなって。てか秀吉は信長が死んでから登場するんでしょうかね。時系列的にも。あー、楽しみが尽きない!






真田のからくり屋敷!! あそこまでカラクる必要あるのかな?ってぐらいカラクってましたねw