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『花燃ゆ』 第19話「女たち、手を組む」

大河ドラマ

「熱血先生、誕生」 「高杉晋作、参上」 「躍動、松下村塾!」 「塾を守れ!」 「最後の食卓」 「松陰、最期の言葉」 「龍馬、登場!」・・・・などなど、ひどいサブタイトルを連発している我らが『花燃ゆ』ですが、今回はなんと「女たち、手を組む」ときましたよ。なんじゃそりゃ。どこまでこの謎路線でいくんでしょうか。内容も推して知るべし、なものでした。いや、内容が謎だからサブタイトルも謎にならざるを得んのかな。

女たちが手を組んで何をするかというと、おにぎり作るだけに飽き足らず、資金作りを始めたのですね。すごい話だ。おにぎり作るのとお金稼ぐのじゃ、ものすごい開きがあります。おにぎりは家族の生存活動の補助だけど、かまぼこ焼いたりリリアン編んだりして作ったお金はテロ活動の資金援助になってるからね。

こういうのは最近朝ドラでもやっていることで、一市民(女)が深い考えなく時流や環境に流されて結果的に銃後で戦争に加担していた・・・と『ごちそうさん』でもひどく意識的に描かれていたんだけど、『花燃ゆ』でも一応、それと同じ「罪と罰」な展開になっていくのだろうとは思う。最終的には官軍endになるとはいえ、それまでに死屍累々の幕末があるのが長州だから。

とはいえ、覚悟をもって踏み込むってこたぁないんだろうな、と大方の想像がつくからねぇ。

だって高杉の妻・雅をひどいKY嫁に描いたあげく、女たち連合への「デレ=合流」があんな形とは。息子(しかも母ひとり子ひとりの家族)を亡くした老母にしてみりゃ、京都だろうと上海だろうと、夫や兄が帰ってくる見込みのある人間とは雲泥の差の心境だろうよ。

雅だって夫を見送る覚悟を知りたいなら、文やスミに聞けば十分だし間違っても今ここで亀太郎母に聞くべきではない。そこが雅のKYたるゆえんという描写なのかもしれんが、そのKYとか亀母とかを一緒くたにまとめて「これからも手を組んでがんばりましょうね=テロ資金作っていきましょうね」と、なんだか美談みたいな方向に持っていっちゃうって何! 「とりあえずの結論」だとしても気持ち悪すぎる。

だいたい、先週あんなに「テロ活動のための松下村塾はイヤだ」と頑なだった文ちゃんはどこ行ったのか。先週ラストの台所ハグ&甘い言葉で懐柔されたのか。暗殺された井伊直弼の妻子を慮ったお母さんは、松下村塾の若者が長州のお偉方を襲撃するのはOKなのか。そーいえば、地雷火を作ってたほっしゃん。はどこに行ったのか。民放で花燃ゆの待ち時間の長さをdisったとかいう劇団ひとりは、むしろ伊藤博文もどっか行かせてくれよと思っているのかどーか。

久坂は杉家でサークル活動したり女たちにお金せびってる描写がメインなので、西郷吉之助と対等に(?)話してるシーンに違和感がある。亀太郎が凶行におよぶにあたり、「久坂さんはこんなところで死んじゃだめだ、まずは雑魚の自分が」とまで言わせてたけど、久坂の大物っぷりは東出くんの身長でしか表現されていないんだから。「献策をここに書き記しました」みたいな書物がいろいろ出て来るけど、その中身がサッパリわかんない。政治も思想もまったく描かずに雄叫びとテロ行為だけを描くおそろしいドラマ・・・。そーいえば(その2)、このドラマの桂さんはどこで遭難しているのか?

周布さんに向かって「長州を背負います!」とか言ってる久坂クンだけど、やる気だけで選挙に出たって資金とかバックアップ組織とかしっかりしてないと当選しねぇわなとしか思えない。周布さんも、そこで「何ぃ?!」みたいな顔しない! 確かにこれから長州藩の幕末はあっち行きこっち行き混乱の極みに陥るんだけれども、それがどれだけ特殊でぶっとんだことなのかっていうのが全くわからないじゃないのよ、最初からここまで藩の組織図が不在だと。まぁその最たる存在が伊之助なんですけどもね。君の職掌はなんなのだ?!

で、世間的な不振のいちばんの原因は、スイーツ大河でありながらスイーツ方面がことごとく弱い点なんでしょうね。久坂と文、高杉と雅、いずれにも夫婦の情が通い合っているように見えない。これは今年に限らない話で、大河ドラマが夫婦愛の不毛の地になって久しいのだが、「篤姫」の視聴率的大成功のあとに二匹目のどじょうを狙おうとすればするほど見る者の胸を打つ夫婦愛から遠ざかっているようなのが皮肉なんだよねまったく。