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『デート』 第4話

ドラマ

ちょっとちょっと、風邪ひいて心が弱ってる状態で見たからか、最後のほう、軽く泣いちゃったじゃないのよぅ。困るなあ、そーゆーつもりでこのドラマ見てないんだから。・・・でも、冷静に思い出してみると、泣かんでいいよねやっぱり(笑)。
とにかく、たくさんのピースがひとつのズレもなくピタッとハマって完成したような結末に惚れ惚れした。うまい、うますぎる。それだけでカタルシスである。

「○日前」だけでなく「○時間前」まで細かく時制を行きつ戻りつさせて展開していくドラマだけど、そこまですべてあらかじめ脚本で指示されているのかな。演出が思案してる部分もあるのかな?

依子が用意した「若年無業者を啓発する資料」は巧に渡され、鷲尾が用意したマッサージ器は、依子父(松重豊)からのクリスマスプレゼントとして依子に渡され、巧が依子のために用意した安物のネックレスは巧母(風吹ジュン)が受け取った代わりに、かつて巧少年が母にあげた「肩たたき券」が依子の手に渡る。かくして依子の肩こりは、「いつでも、どこでも、永久に」手当されることになるのだが、その裏で、依子が父に初めてあげたつもりのクリスマスプレゼント「独り暮らしの部屋の合鍵」は、なんと鷲尾が受け取ってしまったのであった・・・! 

「小さなハッピーエンドと、うまいオチ、そして次なる波乱の予感☆」って、これだけでも十分すごいんだが、単にモノが移動しただけでなく、これで父は、これまで果たせなかった「娘のためのサンタクロース」をつとめることができたし、巧も便宜上、(依子が警察にそう説明したことによって)「恋人がサンタクロース」となれたわけだし、依子母(和久井映見)が生前に唱えた「複数のサンタが選ばれた子にだけプレゼントを配ることは可能なんだからサンタがいないとは言えない」という仮説も見事に複数のサンタで!実証されたわけですね。

チビ依子は「今後は本物のサンタからのプレゼントのみを受け付ける」と子どもの頃に宣言したのだから、プレゼントを受け取ったことで、巧&父を「本物のサンタ」と認めたことになるのです。何という綺麗な結末・・・・!

んで、これまで巧母のことを「怖い」「息子に依存」って書きたててすまんかった! 全力で謝ります。依子父と同じく、親ばかだけど超いいお母さんでした。そうですよね、そうじゃなければ(対称でなければ)構図としておかしいですもんね。

巧母がネックレスをぶんどったことについて批判的な感想をネットで散見しましたけど、私はあれで良かったんだと思うなあ! 巧は「母さんにあげるよ」と言ったんだしね。あんな安物でも、巧が初めて自分で稼いだお金で買ったプレゼントなんだよ。まあ稼いだっつっても本を売っただけで、もともとその本は親の金で買ったものなんだろーけどさ。就職したら親に初任給でプレゼントしたりするやん。遅ればせながらの、あの図だよ。あんな安物で心から喜んでた巧母に泣いたね私ゃ。小林多喜二全集、2〜3,000円にはなったかね。そう、小林多喜二ってのが芸が細かい! プロレタリア=労働者の文学を売って金を稼いだのだよ巧は!

安物のネックレスなんかより、巧が「自慢の息子」だった頃にくれた可愛い「肩たたき券」のほうが、どんなにかプライスレスなものだろうに、巧母はそれを依子にあげちゃったんだよねえ。あそこで私、巧母に土下座したわ。この人の「これも個性」「いろんな人がいていい」は本物だ、ってね。だって依子は明らかに変わった子だし(円周率ネタが再びw)、あんな失礼なもの持ってきて失礼な発言したのに、そんな子に大事なものをあげちゃったんだよ。私なら絶対無理。いくら肩こりだからって、それを喜ぶかどうかわかんない(息子を愛しているわけでも、息子が愛しているわけでもない)娘にあげるくらいなら自分で持って死にたい。

もちろん、巧母も、依子父も、親ばかなんだとは思う、子離れできてないとこもあるのかも、でもじゃあ、彼ら親子が不幸か? って言われたら、そうは思えなかったよね今回。ま、そういう「あたたかい親子関係」が「いい年した子どもたちの明るい未来」に今現在つながってるわけじゃない、って事実もあるのが、しょっぱいんだがね。

巧が風邪をおしてまで依子の部屋に「恋人はサンタクロース」しに行った理由をドラマは「これ」と明示しないんだけど、そこを想像するとキュンキュンしちゃうなあ。依子なりに「心」をこめて若年無業者向けプログラムを収集・書込みしてくれたのももちろんだし、家まで律儀に連れ帰ってくれたのも有難く感じたんだろうし、母親の心の内を立ち聞き(座ってたけど)して、あらためて早く結婚(寄生だけど)して安心させたいと思ったのかもしれんし、依子の完成度の高すぎるサンタコスプレみたいなのも、ツボにハマってきたのかもしんない。

“聖域”で「ベルサイユのばら」が「植物」に、「銀河鉄道999」と「銀河鉄道の夜」が同じく「鉄道」ジャンルに分類され、「天才バカボン」と「バガボンド」が「ナンセンス」として交互に並べられようとも(爆笑)、そんなふうに自分のものに「彼女の手」が入った跡があるのも、新鮮で刺激的だったりするのよね、恋ってそういうものよね!!

で、「藪下さん・・・僕があなたのサンタクロースです・・・藪下さん・・・案外筋肉質なんですね・・・」に繋がるわけで(笑)。なんだよ、あの横抱きつき! 建物から連行される2人がドリフのコントの爆発後みたいになってる(笑) その放心の表情が2人ともうまいんだわ!! その表情のまま、パトカーの後部座席にて初めて娘に紹介される2人(笑) オリジナリティありすぎるだろ、この脚本!!(笑) 

戻った部屋の破壊され具合がひどい(笑) おまいら、どんだけ、くんずほぐれつしたんだと(笑)。てか、泥酔してたとはいえ剣道有段者の依子父に一方的にやられず相当の抵抗を示したっぽいとこみると、巧のブルース・リーごっこもダテじゃないんだな(笑)。

なんたって、「いつでも、どこでも、期限なし」の肩たたき券だもんね。巧は依子に永遠に奉仕することが決定したも同然で、依子のサンタクロースになれなかった鷲尾くんの敗退は火を見るよりも明らかですね。マッサージ器では「これだ!」も出なかったわけだし。

てか、腐女子でなくともドラマ視聴に馴染んだ人なら、最初から「こんな凝ったドラマで鷲尾が単なる恋の当て馬なんてそんな役回りあるわけなくて、鷲尾が好きなのって実は依子父だろ!!」って思えてしょうがなかったですよね? それは前回の剣道シーンなんかで確信に変わったわけで、彼がハッキリその口で「依子さんが好きです!」って言おうが、とても信じられないわけですよね(本当に好きなのが誰なのか、自分でまだ気づいてないだけなんだよね、と思っちゃう)。

ただ一点、最初から「鷲尾→依子父ラブなら、それリーハイ2と同じやん、古沢さんが同じ手を使うかな・・・」ってのが懐疑すべき点なんですが、どうなんでしょうか。良識人を自負する鷲尾こそが、同性愛者という個性を自覚するというオチはすごく綺麗な構図なだけに、そこにさらにひとひねりしてくるのかな、とも思うんですが。

なんにしても、「心がない」と言われた依子が心底傷ついた顔をしたのを、巧はちゃんと見てとったんですよね。依子がそれを認めようとしたときには慌てて「そんなことない!」と打ち消した彼はやっぱり昔どおりに優しい子で、「心がない人間なんていない」という言葉を自信を持って言えるのは、あまたの文学や映画から人間の真理を読み取ってきたから。

いっぽうで、幽霊母の言葉は、やはり依子の深層心理なのだと思えた今回のやりとりだった。心がないと言われ傷ついて帰ったあとで、(正解のサンタコスプレをして笑)依子宅でチキン食べてた幽霊母が「あの子のほうがよっぽど優しいじゃない。あなたは親にサンタもさせてあげなかった。親にプレゼントをあげようだなんて考えたことある?」みたいなこと言ったときにハッキリそう思った。「女としても数学者としても私には絶対かなわない」前回の幽霊ママ、そう言ってたよね。

親離れ・子離れしなくちゃいけないし、親への劣等感・親という壁も超えなきゃいけない。それが大人になること・自立するってことなんだろうな。2人が自立した大人として向かい合うときどういう結末になるんだろーか。サンタ巧を見送る「正解コスプレ」の国仲涼子ちゃんの表情、切なかったね。