『問題のあるレストラン』 第4話

菅田くんがついに本領発揮してきましたね! 相手が充希ちゃんでなくて良かったよ、叔母甥の近親相姦って思い浮かんじゃったら見てらんないもんね、ってのは冗談ですが。つーか充希ちゃん→東出くんという妹→兄モーションは当初から繰り広げられてるわけだし。モーションって死語だな。

ここへきて、出勤するなりお尻触られる(女)とか遅刻したらボコボコに殴られる(男)とかいう描写が非リアリティじゃなく見えてきた。社会に出て働くって、ああいうふうに日々ナチュラルに傷つけられながら生きるってことでもあるんだ、って描写なんだなと。

日々ナチュラルに傷つけられてると、人は、「いちいち傷ついててもしょうがないし迎合して踏み台にしたほうがいいじゃん?」って開きなおったり、「どーせ自分は使えない奴なんだから」って卑屈さで別の人間を傷つけたりしちゃうんだなと思った。そんなふうに痛々しく歪んじゃうのも当然だよね、って思える。あの、「日々ナチュラルに」なハラスメント描写。

会社を辞めちゃったたま子も、新田(東大ちゃん・喪服ちゃん)も、世間にふみとどまってる側から見たら落ちこぼれで変人でかわいそうな人間なのかもしれんけど、問題があることを問題があるって(無意識にでも)悟って順応できない子に比べて、問題があることに気づかず、あるいは諦めて馴れきって流されていく子が幸せってことはないよね、とハッキリ思えてきた。

さすが坂元裕二古沢良太(「デート」)とはまた別のやり方で「ふつうの価値観」を揺さぶってくる。

「女の子」の舞台から降りて生きてきた川奈と、「女の子」だけを武器にして(肉じゃが教w)生きてきた新田、磁石のように反発し合う2人が、同じく「緑のセーラージュピター」ポジションだった・・・という設定が明かされる場面、そうくるか!と。考えてみれば「被害者と加害者とは同じ船に乗ってる」は坂元センセイの専売特許だよねぇ(from 「それでも生きていく」)。

菅田くんが新田をコマして手籠め(by 巧 from デート)にするまでのシークエンス、ぞくぞくした。ちょっと親切にして、ナチュラルに耳触りのいいこと言って持ち上げて・・・そんな手間、何でもないんだよね。結局、女は「力づくで抑えつけられたら何もできないんだから」。ご丁寧に、一度は被害者ヅラまでして見せる。キスを拒んだ新田に対して「傷ついた」って。朝になったらお金まきあげてバイバイするまでを含めて、そのすべてが深く考えずにナチュラルに運ぶ動作。・・・っていうのが菅田くんの演技からにじみ出てて、マジ菅田くん恐ろしかった。あれは新田じゃなくても落ちる子いっぱいいるわー。

もうね、目覚めて、朝日を見つめて「アタシ、いま生まれ変わった」って感じのまぶしい顔したあとに寝てる菅田くんに抱きついて「私も3代目のライブ行ってみたいな」って言う新田が痛くて痛くて! 坂元センセイ、マジひとかけらの躊躇もなくあの一連の団体をdisってきますよね、昔の団体じゃなくてめっちゃ現在進行形なのに!! (←よろこんでます)

ステキな誕生会がめちゃくちゃに終わったあとで、たま子が言う「がんばろう! がんばろうよ!」がものすごい必死さで、3話に続いて「そうそう、このための真木よう子なのよ!!」と頷いた。がんばることがどんだけしんどいか、ひしひしと伝わってくる。真木よう子って、声張ると、声が震えるんだよね、そういう声質なんだろうと思うけど、それが無茶苦茶効いてる。

最後に同僚に温泉レイプつきつけられてた川奈の顛末は来週やるんだろうか? この件に関して彼女は被害者なんだけど、この意図的ブリッコちゃん(死語)に、世間でよく言われるところの「痴漢されるほうも悪い」っていう文脈は使えるのかな? てか、この子はこの子で、門司にベタベタしまくりだったけどあれはあれでセクハラじゃないのかな? などなど、考えることは尽きませんね。

で、人は「傷つけるがわ / 傷つけられるがわ」の簡単な二項対立じゃないってハッキリしたとこで、このドラマこれからどう転がっていくのか、ますますますます楽しみになってきた。今のところ完全無欠の悪人である雨木社長は、来週、どんな姿を見せるのだろーか。おそらく「料理に心なんていらない」なマインドのままでたどりついた門司のフォンは、果たして「あったかい」味がするのかどーか?

いくら着る毛布あっても絶対寒いだろ、ってなオープンレストランなんだけど、そこで「あったかい」料理が食べられるっていうことなんだろうけど、たま子が一番の寒がりってのがまたまた心憎い設定である(笑)。