『ど根性ガエル』 第6話

ピョン吉とヒロシが互いに背を向けた状態で告白するために、ヒロシがTシャツを前後ろに着るという画をつくる。そのために、ヒロシが寝冷えてそしてかき氷で体を冷やして声が出なくなる状況を作る。

・・・という構成、「うまい!」の一言。

でも、全体的にはけっこう飲み込みにくい回だったかも。ピョン吉の寿命の件がドラマ後半に入った6話という時点で明らかにされるのは、21世紀のドラマらしいんだけどね。昔のドラマなら最終回近くまで(少なくともヒロシには)秘密にされ続けるよね。

終戦の日の放送だったから不発弾のエピソードを作ったのはよくわかる。みんなで集まって、京子ちゃんのばあちゃんの話を聞く図も、町の不発弾の処理が終わって「平和だねー」って言いながら五郎と素麺を食べて風鈴が揺れてる、ていう図もすごくよかった。

で、そこから「戦争のない世の中を」→「弱い者を守る政治を」っていう流れもスムーズなんだけど、応援演説の場でピョン吉がぶちまけちゃうっていうのが、どう反応していいかわかんない。

ゴリライモが真摯な気持ちで応援を頼んで、意気を感じたヒロシががんばって原稿を作って、人もたくさん集まって、言ってみればピョン吉がそれ全部ぶちこわしちゃったわけでしょ。正直「何で今かな」って思うよね。

まあ、そこで時間切れになったから、この回は実質、7話と前後編で1本と見たほうがいいのかな? 


京子ちゃんち・パン工場・学校・お寿司屋さん・・・・いつもの町に誰もいなくなる描写はもちろん福島の原発周辺を想起させた。不発弾処理にかつての戦争だけでなく「今この現実」を示唆する意味を持たせたのは作り手の意思を感じる。

不発弾に思いを馳せるピョン吉。ピョン吉の寿命をヒロシがいきなり知らされたのは、不発弾が平和な日常を突如非日常な空間にしたのと重ねてあるのかな。

「爆発しても死ぬ、爆発しなくても(処理されて)死ぬ。あいつは人を殺したくなかったから、長い間ど根性を出して爆発しなかったんだよ」

と言ったピョン吉は、自分は不発弾にはなりきれず、聴衆の面前で寿命を告白することで、爆発してしまったってことかな。ど根性を出し切れなかったピョン吉。

次回の放送を待ちましょう。

声が出なくなったヒロシのジェスチャークイズ、5歳児に超ウケてた。ピョン吉との二人羽織応援演説も。松ケン、こーゆーのやらせたらやりきるよねw 演説も「マクラ」みたいなのから始まる落語を意識した作りや言葉選び、節まわしで面白かった。