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『花燃ゆ』 第21話 「決行の日」

久しぶりに姿を見せた桂さんは総髪になっていました。まぁ、『八重の桜』会津編で出ずっぱりだった綾野くん演じる松平容保なんぞ、「某日曜=美しい月代」→「翌日曜=見事な総髪」に変身していたので、これだけ長いこと遭難してりゃ総髪も整うってなもんでしょう。てか、このドラマの桂さんは、松陰が死んだときはどこをほっつき歩いていたのでしょうか。小田村さんが、さも遺骸を葬ったかのような顔をして萩に帰ってきてましたが。

さて今回、「お?」と花燃ゆらしくないやりとりに目を瞠ったのは、この桂さんを含めた場面です。


高杉「将軍を引っぱり出してきて市中引き回したところで何になる」
周布「攘夷の機運を高める。広く世間に向けて」
高杉「そげな根回しで公卿にばらまく金があるなら、軍艦、砲台、買うたらええ」
周布「おまっ・・・ばっ・・・」 (←ニュアンスねw)
高杉「敵は強大。今の状態で攘夷なんてムリゲー」
桂 「そげなことはわかっとる」
周布「おいっ・・・かつら!!」
桂 「今のまま開国通商するとなると、利益を独占するのは幕府のみ。諸藩には開国の許可すら与えん。そげなざまでは、それこそちゃんちゃらおかしい。攘夷で幕府を追い込み、時代を転覆させる。狙いはそこじゃ」
高杉「ならば、斬りましょうか」
桂 「誰を」
高杉「将軍を」
周布「おまっ・・・ばっ・・・いいかげんにせんか!」
高杉「やるなら今しかない。警固の隙をつきます」
周布「あーもうやってらんね。今夜はとことん酔うぞ!」
高杉「時代を転覆させるとはそういうことじゃ!! 長州自ら戦火を切り乱世を起こす。その爆発なくして討幕などない!!」


周布さんww しかし、まぁ、大まかにいえば確かにこういう立ち位置なのだがwww

今回、「デモンストレーションを重視。周旋家」の久坂・桂と、「周旋大嫌い・長州っ子よ火の玉になれ」な高杉、という図式をそれなりに描こうとしていましたね。桂のセリフは、当時、松下村塾系から出てきた「攘夷経済論」からの「攘夷革命論」とでもいうようなものを端的に表していて、それを毛嫌いした高杉の「まず長州が自爆論」も、概ねこういうもので聞いていて違和感ありませんでした。

が、がっ!

久しぶりに出てきてこういう政治的なセリフをサラッと(ちゃんと自分の腹に落としているから言える・・・のだと思う)言える東山さんは流石でしたが、こんなにサラッと済ませることか? このドラマだけ見てる人には、いきなり立て板に水とこんな会話されてもワケワケメじゃね? ・・・と思いはしました。

それでも一応行動原理が示された高杉はまだ良いとするべきかもしれず、もっと悲惨なのは久坂で、高杉の「よっ、征夷大将軍!」という歴史に残る野次(都市伝説的なものかとは思いますが)にDV夫的にキレてましたが、「ここまでどんだけ苦労してきたか・・・」みたいなセリフの中身がまったく描かれていないので、見ていて何の感情も湧いてきません。

ナレーション「久坂たちは将軍家茂を上洛させることに成功した」。「エ?! 将軍を?! そんなに偉くなったの?! 何をどうやったらそんなことできるの!?」って目がテンです。相変わらず西郷も武市も出てこない、三条実美は口におデキをこしらえてただけで、それを梅干しとナスかなんかで治してもらったお礼に「手紙を預かるよ」って、描かれてきたのはそれだけだ。

相変わらず入江とか野村とかとつるんで酒飲んでるだけのサークル活動と、将軍をどうのという一大事業とがあまりにかけ離れていて、久坂さんはエラくなったとかおモテになるとか言葉で言われても全然ピンときません。てか、先週あんなに息巻いてスローモーションで出て行った公使館焼き討ちはどーなった

芸者のあしらいも「童貞か! 」ってな具合で、「芸者として名を挙げたい。一世一代の誉れを・・・」と堂々と志を述べた辰路を意気に感じず恥をかかせるなんて志士の名折れ、辰路がこんな木偶に惚れる説得力ゼロだろ。志士としての活躍も描かれず、男としてのかっこよさもなく、東出くんかわいそうだろ!! 

最後、攘夷決行を前にみんなをアジってたセリフも、「え? これでどうして高揚できるの? こういうときって“松陰先生の深イイ話”で心を一つにするもんじゃない?」ってな謎の内容。たたでさえ、大勢をアジるようなこういう演技って、どうしても役者の格が出てしまうもんで、さすがに東出くんには荷が重いってのに、セリフの中身までアホっぽいなんてかわいそうでしょ・・・。久坂、長州藩きっての論客のはずなのに・・・。

ふと、『八重の桜』で「最後の一兵まで戦い抜く!!」と幕臣たちをアジってた徳川慶喜を思い出しました。あれは、本物の心意気じゃなくて、「ああでも言っとかないと俺っちの身がヤバい」という空疎なアジだったので更に難しい演技だったはずだけど、小泉孝太郎氏、ハマりきってたなあ。今年の慶喜は・・・どぶろっくでしたか。はは、は・・・。滑るドラマだなあ。

江戸に行こうとする雅を「あんたが行ってどうすんのよ、それより松下村塾でしょ!!」とクサした舌の根も乾かぬうちに「山口に行きたい!」とゴネだす文ちゃん。「奥向きの世話係でなら・・・」って話なのに、どーして小田村と文のふたり旅なんだ!! しかも、聡明な姉の「行ってらっしゃい。松下村塾は私が守ります」のお墨付き。時代劇以前に、こういう作劇、ほんっとうに気持ち悪いと思う。寿のご都合的な扱いが、まず許せん。

さらには「殿のお目通りがかなうかもしれん」と消えてゆく小田村、登場して親しく口をきく藩主の正室と藩主、時代劇のファンはこういう雑さが大っっっ嫌いです!! ファンタジーやりたいならファンタジーでやれっつの、大河じゃなく。こういう無理を通す必然性がないんだよこのシーンに! 

「いつも寅次郎のことを思い出す」だからいつも思い出すくらいの交流を書いとけっつんだよ生前に。 「なんかよくわかんないけどとにかくみんなを応援してる★ 」な藩主、「お殿様は遠くまで見据えてるからきっと道はひらけます★ 」な小田村、もうおまいらそろって未来に帰れ! そーゆー薄っぺらさは幕末ではクソの役にも立ちゃしないもんです。