読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『ごめんね青春!』終わりました

ドラマ

「青春とは神様からレンタルしてる時間だからシリアスでもコメディーでもホラーでもなんでも、いずれ返却しなきゃいけない」っていうこのドラマ冒頭のナレーションの意味をずっと考えてた。ピンとこなかったのだ。

青春が一過性のものでそれを終えたとき人が大人になるとしても、「借り物」って言葉はなんかそぐわないように思う。どんなに未熟で恥ずかしいものだとしても、良きにしろ悪きにしろ、若いころの経験って、紛れもなく自分の背骨や血肉になるものじゃないか。返すって何? 自分の人生のひとときを手放さなくちゃいけないの?

で、考えた結果、いまいちビビビッとこないんだけど、要は「心残りにケリをつける」って意味で「青春を神様に返す」って言ってるのかな、と。

神様。このドラマには神様と仏様が出てくる。出てくるっていうか存在してる。ま、和尚は色ボケだしその息子は不倫してたしシスターはセクハラしまくり、もう一人の校長は信心からほど遠いキャラ。そろいもそろって俗人なんだけどね。

結局、神様ってのは自分の心の中にいるものなんだろうなって思う。だから後ろめたさの象徴として般若の形相にもなるし、強い意志の源泉にもなる。りさが生徒たちに向かって自信満々に「先生は処女です」と宣言し、迷いなく「この試練を乗り越えましょう」と言えたのも、信仰があるからなんだけど、それって「自らに何ら恥じるところがない」ってことなんだろう。

逆に、「神様に返すべき青春の時間」を引きずってきたことは、平助自身の心のしこりにつながっている。だから、生徒たちにとっては「どうでもよくね?」であり、そもそも確率0.001%、怪我人も出てなけりゃ時効も成立してるわけだ。徹頭徹尾、平助自身の問題だったのだ。

終わりにすべき問題に囚われて、青天白日のもと恋愛もできなかった(→童貞も捨てられなかった笑)んだと思う。

校長室で、みんながみんな平助に無罪判決を出そうとするのは、優しさや平助への愛情が見える反面、「責任の所在をうやむやにする」日本の大人らしい姿にも見えてブラックでもあったけどね(たぶん意図的)。あいつらもみんな脛に傷もつ(ごめんねグッズ持ってる)人間だしね。「私、不倫してました!」って2回も言っちゃうドンマイ先生をみんなでスルーしちゃうのも残酷w みんな、人のこととかどーでもいいんであるww

サトシと祐子は(平助がクロだとしたら)事件の直接の被害者というべき存在なんだけど、高校時代の2人が先に平助を裏切っている、ってのがミソでもあるし、サトシはやたらチャラい人間で、退学とかなかったとしても結構いまみたいな人生送ってたんじゃないかねと思え、祐子は・・・祐子を最後までオモシロ俗物キャラとして描かなかったのは意外だった。「あの事件がなかったらどうなっていただろう?」という彼女の問いは、すべての人生にそのまま応用できるものなんだよね。人生っていろんな偶然や必然で思わぬ方向に転がっていくもので、それでも変に道を外れずそれなりにまっとうに生きてきたっぽい祐子はやっぱりしっかり者なんだろう。

青春を延滞しすぎてて平助に見える「うしろメタファーみゆき」がママンなのは、クドカンの優しい甘さだなあ。弱さを根底から否定しない。心残りを抱えながらもちゃんと成長して素敵な教師になってる、ってのも。平助は観音菩薩を通じて自分と対話し続けてきたんだよね。

最終回まで、クドカンらしい、ゆき届いた描写の数々。「信じることができなかった親」と「疑うことができなかった親」を「同じだ」としたこと。八面六臂の活躍を見せる遠藤ちゃんw ・・・を追いつめる教頭ww 

ミス聖駿に選ばれるコスメ。プレゼンターの斉藤由貴が、結果にコスメの名を見ても眉ひとつ動かさず、ごく平然と発表するのが、いい。結果を聞いていの一番に半田くんが立ち上がるのもいいww 

LINEで成りすまされてたぐらいで特にフィーチャーされたことのない成田君が、みんなを代表して「最高の二学期でした!」と言う。
失意と嫉妬とのロケット花火に対比される、楽しいキャンプファイヤー。熱い炎だけど、それを囲んでフォークダンスなんていう「サムさ」の象徴でもある。いずれ消えてしまうものでもある。

卒業した共学クラスの面々は、それぞれの道を歩んでいっていずれ振り返ったとき、遠くに小さく見えるかつての青春の日々を「まるで神様から借りていたような、奇跡みたいに輝かしい時間だった」と思うことだろう。

ミスター聖駿に選ばれてからの錦戸くんの演技は見ものだった。いつものようにハニカんだ笑顔で壇上に上がり、いつもの、先生らしい口調と所作で話し始めて、徐々に緊張を高めていく迫真。聞いている満島ひかりもよかった。表情だけで、じゅうぶん見ごたえがある。張りつめて、涙で紅潮した顔が、「どうでもよくね?」から徐々に緩み、「試練を乗り越えられる」確信で輝いてゆく。二人のアイコンタクトは盤石で「YOUたち結婚しちゃいなよ!」てなもん。

・・・ってことで衝動的に「結婚しましょう!」って言っちゃう平助、「しますよ、しますけど。それここで言うことかな」って応えるりさ。生徒たちの前での一見イタいやりとりなんだけど、前回屋上での2人のイタさとは全然違って、なんか、大人に見えたんだよねぇ二人とも。いいカップルだったな。続編不要で綺麗に完結するのがクドカンドラマだけど、2人の新婚生活どっかで見たいもんです。