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『軍師官兵衛』 第34話「九州出陣」

大河ドラマ

いったんV字回復した視聴率はまた速やかに急降下しているようですが、さもありなん。本能寺あたりで「岡田くんカッケーらしいよ」「おお、この俳優(岡田)、若いのに渋い演技をするな」とテレビの前に座った層が、「あれ?面白くないやん」と気づいて去っていったんですよね。まー、大河クラスタの間では、とうに「今作は『天地人』『江』と同じグループ、どんぐりの背比べ」という評価でさだまっているわけで、新天地=我が九州に来てくれようが、この先面白くなるとは思っちゃいません。今回も、「悪しき大河のエッセンスが凝縮された」回でした。

1.死にゆく人間が「ザ・綺麗ごと」な総括

蜂須賀小六がいきなり死の床に。そこで「官兵衛、おまえは生涯の友だ」などといきなり口走る。そんな描写がこれまでどこに積み重ねられてきました? 「最近よく昔のことを思い出す…高松城の水攻めに中国大返し…あれは痛快だった…」まだ放送後1ヶ月ってとこなんで、そんなに昔って感じがしません。秀吉「小六ー! 小六小六小六小六小六小六…」(断然これ以上に呼んでましたよね、書いてるとゲシュタルト崩壊起きるな笑。あ、小学6年生を呼んでるわけじゃないよ)そんなにも小六を大事にしてきた描写がどこに? 総じて、ドラマの感傷チックな雰囲気にまったくついていけません。

今作の蜂須賀小六は「こんなどーでもいい造形で、なんでピエール瀧に演じさせるんだよ瀧の使い方わかってなさすぎ」って感じでしたが、無味無臭のキャラだけに、せめて茫洋とした鷹揚な存在感が必要だったのでしょうね。しっかし瀧さんこの仕事面白かったのかな?

2.女パートがクソどうでもいい

糸が質素な着物を着ているから茶々に侍女と間違えられるとか、それで糸が激おこプンプンとか、そんな茶々をおねの前で「天真爛漫で憎めません」と言っちゃう光のKYっぷりとか、ほんとどーでもいいです、まったく面白くないです、「相談もなしに新興宗教に入ってすまなかった」という夫に「いいえ、私にもその新興宗教の教えを教えてください」って微笑む妻(結婚して20年くらいの中年夫婦)、これ理想の夫婦どころか仮面夫婦にしか見えないんですけど? 去年も「夫婦間に生々しさがなくて全然夫婦に見えない」と散々クサしてましたが、下には下があるもんです…。

とりあえず今作の茶々が「天真爛漫な毒婦」って造形なのはわかりました、『天地人』の「天真爛漫な賢婦」茶々から天真爛漫部分は継承されてますね、これは21世紀風といえるでしょうか、まああんまり深い考えはない造形なんでしょうけどー

3.ダイジェスト感ハンパない

朝日姫のお嫁入り→大政所を人質に→家康上洛 までの流れが、徹頭徹尾、「説明を映像化」でしかない。ドラマなのに全然ドラマチックじゃない。寺尾聰にこんな脚本を演じさせやがってどうしてくれるどうしてくれる、せっかくの大河出演なのに…! こんなんじゃ、役所広司とか佐藤浩市とかは当分大河には戻ってこないだろうね、って、あ、再来年は三谷大河だからそろって戻ってくる可能性あるね(笑)

4.「軍師」官兵衛がただの熱血ヤローに成り果てている件

吉川元春を参陣させるミッション。どうやって軍師ぶりを発揮するのかと思いきや、やっぱり「面と向かって、一発、熱弁ふるう」という松岡修造メソッドでしたありがとうございます(棒)。や、確かに、猛将タイプの吉川元春の心を動かすために…っていう「相手を見た」戦法だったのかもしれませんけどね、毎回毎回、ワンパターンなんですよ。ちょっと一言二言、本気モードで喋ったらミッションクリアで、周囲は「官兵衛なら何とかしてくれる」「さすが軍師官兵衛」ってageの嵐。肝心の戦での戦略はオールカット。俺が見たかった軍師こんなんじゃない…! 

●それでも両川は最高レベル

病を得てなお頑迷な吉川元春、兄を見送る小早川隆景、どちらもすばらしく重厚な演技を見せてくれます・・・! 官兵衛大河において毛利が一番かっこいいってどうなのw いやもうどうでもいい、死の床で「毛利を頼む」と託す老齢の兄、頷きながら無言でぽろぽろと涙を落とす壮年の弟、その画を見てると、「ふたりして毛利に生まれながら他家に養子に出て、それでも生涯をかけて毛利のために働いた…」っていう、この兄弟の来し方に、めっちゃ思いを馳せてしまうですよ。

吉見一豊さんって初めて見たけど、ほんとに良かったなあ。吉川元春松重豊(@1997『毛利元就』)で固定されていた私の脳内イメージが、17年ぶりに更新されましたよ。鶴見辰吾は今後もこの大河をよしなに頼む! もうストーリーのバランスとか無視していいからじゃんじゃん出てほしい! このキャストで両川のスピンオフ見たいわー。あ、脚本家はもちろん、このドラマの人使わないでね、大森寿美男あたりでお願いします。