読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『軍師官兵衛』 第31話「天下人への道」

あいっかわらずサブタイトルがクソだな。『風林火山』でも「天下への道」ってサブタイがあったけど、あのときも、やや「つなぎ」的な回ながら、それでもびっしり詰まった中身だったぞ。まあ、あれほどの濃さは今後の大河でももう臨めないものかもしれんがw

清洲会議が『超高速!清須会議』なのは、まあ、わからんでもないのね。ここで今作が多少がんばったところで、三谷さんの『清洲会議』ってもんが先行してる以上、どげんもこげんもならんやろうし。史実ではこのとき官兵衛は清州にいなかったというしね。

しかし、求心力の低い脚本だなあ。

ちょっと今ここで考えてみるに、朋輩であった勝家と強いて事を構えたくはない秀吉に対して「やらなければこちらがやられる」と一喝する官兵衛。だから今回の政治的・軍事的駆け引きは基本的に官兵衛の主導で、信長の葬儀のような示威的行為等を通じて「今や最大の敵」である勝家を挑発し戦に持ち込んだのも官兵衛の思惑通りだった。だから三七信孝を怒らせて「しめた」とばかりにニヤリとするわけで、その横顔はゾクゾクするほどかっこいいんだけどね。

そうやって攻撃的なシナリオを描く一方で、ちょろちょろ動く足利とその背後に見え隠れする毛利という厄介な存在にも抜かりなく対処し、秀吉の家中政治では有力者である蜂須賀家との婚姻を結んで、いざ賤ヶ岳。計画通りに勝家をコテンパンに。ここまですべて、軍師様のおっしゃる通りに動いたら頂上が目の前に・・・っていう秀吉が、興奮半分、怖さ半分の状態で「すべておまえの言うとおりにやってきた。おまえだけは敵に回したくない」と言うわけよね。

このドラマでは、「新しい世=カタストロフィの先のグローバル社会」を目指そうとした信長に対して、秀吉にはオリジナルの思想や政権構想はなく、ただ「慕っていた信長の夢を継ぎたい=自分が天下をとりたい」という行動原理だけで動いていて、その思想面を官兵衛が沈黙のうちに担おうとしている。官兵衛の思想はもちろん「乱世を終わらせる教」であり「平和の党」。

ピントの外れた薄っぺらい平和思想は画餅にしか見えなくて盛大に脱力するわけでね、やっぱり。

「平和を目指す」にしても、もうちょっとホネのある作りにしてくれないかな。

「時流を読んで信長に仕えてはいたものの、早晩、人心を失うやり方であると冷静にみていた」とかさ。「武将としての才や人間的魅力は天下一品な秀吉の思想のなさをこれ幸いと、己の思想を体現するために徹底的に利用する」とかさ。同じく「いまだかつて実現したことのない平和社会を希求する」にしたって、それぐらい手段を選ばないダークヒーローな軍師様に徹してくれたらな、とか思うわけよ。

このドラマの官兵衛は、信長にも心酔し、秀吉を見込むばかりか惚れ込んで、「みんな仲良し、おてて繋いで天下統一」でしょ。けっ。

そのあたり、道に落ちてる犬の糞になり果てた荒木村重が再登場して、秀吉のブラック化を予言しホワイト軍師・官兵衛との溝が描かれることを示唆しているのだろうけども、今までが今までなんで、この構図もスッキリしないんだよね。

老獪な軍師のお面をかなぐり捨てて、「なぜ逃げた!」と青臭く糾弾する官兵衛にがっかり。秀吉に天下をとらせるという大事に臨んでは、あらゆる局面で清濁併せのみ、時には犠牲を払うのが必須だろうに、今さら村重程度で取り乱すなよ、と思っちゃう。

第一、官兵衛自身が、あの件について総括しないままで、ここまできている。確かに村重の逃亡は罵倒されるべき行為にしても、だからといって女・子どもまで殺してしまうのは信長の非道さも、その信長の慈悲込みの判断で自分や嫡男の命が安堵されたことも、そもそも罠にハマってみすみす幽閉され嫡男や一族を危機に陥れた自分の未熟さも、世話になっただしの助命嘆願のひとつもしてないことも、何もかも突き詰められてこなかった。現代的平和思想をふりかざす割に、信長の「人道に対する罪」は問わないのね、とか。

純粋まっすぐくん的に理想を唱えることしか知らなかった時期から、あの幽閉生活でやっと戦国の世の厳しさを知ることができた点、官兵衛はむしろ、村重に感謝すべきじゃないかとさえ思うんですけどねw 正直、おめーが安直に村重を責めてんじゃねーよ、って感じがする。

それで、正月早々のあのバカ騒ぎでしょ。てか、その前段として、姫路に引っ越してきたおねと光のはしゃぎっぷりにげんなりした。半沢直樹の社宅妻たちのお茶会よりも見てて気持ち悪いってどうなのよww

大河ドラマにホームドラマ的要素が含まれるのは昔昔からのこと。日曜8時にNHKでやるんだから、それはしょうがないと思うんですよ。しかし、萌えにせよ、箸休めにせよ、あるいは現代人の胸をつく感動や衝撃にせよ、そこにはなんらかの「明確な意味」がなければならないと思うんですよ。ぬるいドラマの中でさらに能天気な団らんの場。あんまりだ! 俺の高畑充希ちゃんを、単純なセリフ3つ4つで「はねっかえりキャラ認定」して主人公の嫡男にあてがって、みんなで「目出度い目出度い」って、俺はひとつもうれしくないぞ!! もっともらしい顔で地図上で碁石を動かしたぐらいで軍配ふるってる描写だなんて、軍師モノとしてサイテーなんだからね!!