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『軍師官兵衛』 第24話「帰ってきた軍師」

ま〜、今年はこうやって、流し見してればなんとなーくそれらしく見えて、でも実際は深みのない話が展開しつつ、年末までいくんだろうな〜と。ま、来年・・・はかなり謎なんだけど、ともかく再来年は真田丸だからね。がんばろう日本。遠く微かに光は見えている。

だって、アバンタイトルでいきなり「地獄からの使者」化してた官兵衛やん。これが噴かずにいられましょうか。なんで急にそんなに豹変したのかと言われれば、「幽閉生活@土牢で辛酸をなめたから」「死んだ半兵衛やんの後を継ごうと頑張ってるから」ってことになるんだけど、このドラマの場合、数学の公式と同じなんだよね。「公式はわかるけど、その公式の意味はわかんない」っていう。幽閉を経て、官兵衛が何を思い、どのように成長し、いかなる人間的な深みを得て老獪な軍師に変貌しつつあるのか、ちゃんと毎週お茶の間に座ってるのにわからない、このモヤモヤ感。

でも、サラッと見てる人にとっては、「公式が分かればとりあえず答えは出るんだから、それでいいじゃん」って感じなんだろうなあ。むしろ、「わかりやすく公式を提示してくれるから見やすい」って思う人もいるんだろうね。ああ、大河ヲタ受難の時代。ま、来年・・・はかなり謎なんだけど、再来年は真田丸・・・(呪文のように唱える)。

視聴率も回復傾向らしい。この回は、17.5%。んま〜、この時期の『八重の桜』(三郎戦死〜二本松〜白虎隊あたり)や、『平清盛』(保元〜平治〜叔父を斬る)あたりの身震いするような白熱ぶりと、その内容と甚だしいギャップのある低視聴率を思い出せば、なんとも羨ましい数字であります。けれどこれが地上波視聴者層の答えなんだよね。わかりやすい公式のサラッとしたドラマが求められてる、っていうマーケティング結果になるよね。ああ、大河ドラマの将来は暗い。でもとりあえず再来年だけは真田丸でマトモな脚本が見られるはず…。

ただし今回、確かに非常に見やすい45分だったと思った。成熟した軍師になりつつある岡田くんの演技が本当によろしい。苦み走った風貌もすばらしいし、足を引きずる所作は『風林火山』の勘助のそれよりもなお痛々しく、セリフ回しも盤石(見苦しく泣いたり叫んだりしないのも良い)。なんと時代劇の映える、かっこいい役者でしょう。この、堂々たる大河の主役の器に、脚本という中身が伴っていれば・・・(泣)。

別所長治に決断を迫る軍師としての冷酷さも、御着の殿をついには斬れない人間としての温かさ弱さも、答えとしては悪くない。ただ、そこに至るまでの過程がスカスカだから、「ふーん」になるんだよね。

別所長治は、悲劇的結末を迎える武将に似合う役者さんで、良かった。最期の言葉の音声カット演出(脚本か?)はひどい。こーゆー詰めの甘さ…っていうか、詰める気の無さが、本作の唾棄すべきところ。大河制作への気概も愛情も感じない。ベンガルと佐戸井も、結局、役者の無駄遣いに終わった。

鶴太郎のサヨナラ公演も、こんなもんで満足したくはないね。鶴太郎の怪演はこんなもんではないのだよ!!(from 『太平記』)。結局、単なる哀れな小物で終わった小寺の殿様でした。磯部勉と上杉祥三は、さすが時代劇俳優という演技で主君への愛想尽かしをしてみせたが、これも、ここまでの積み重ねがあれば、いかにも戦国らしい、もっと良いシーンになったろうに。鶴太郎の嫡男・斎はなにげに良いキャラだった。賢そうで、かつ、父親思いで。官兵衛と鶴太郎ふたりきりにしたあと、恭平パパまでいる黒田の面々と斎とが、幼稚園バスを待つママ友よろしく一緒くたに立ったまま待ってる図はすっごく間抜け。せめて斎は隔離しろっつーの。

恭平パパの振る舞いもまったく気に食わない。平成のパパすぎる。息子を瀕死の目に合わせたから許せないという、その激情があるならばその場で斬りかかるぐらい、すべし!戦国武将なんだから。だいたい、官兵衛にしても恭平パパにしても、鶴太郎のことを「感情的に許せるか許せないか」その一点だけで判断してるみたいな脚本がイヤ。一応、官兵衛は「城主のつとめとして潔く自害すべき」と迫ったし、秀吉が最後に「小寺ふぜいが今さらどこに逃げようが大勢に影響はない」とフォローしていたが、そういった「建前」や「合理的理由」をもっともっと押し出したうえでどうしようもなく漏れる「感情」でないと、感動的でないんだよな〜。

感情的に・・・といえば、「俺を裏切った村重を許さない」と失恋の痛手を引きずって有岡城にまで乗り込んでる信長タン、超情緒的!w こっちは、もう、なんか可愛く見えてくるレベル。本作の信長、村重のこと、好きすぎだろwww

佐久間信盛の追放も、なんとも唐突だったけれど、わかりやすい演出だよなーとは思った。この佐久間信盛近藤芳正柴田勝家よりも勝家っぽく見えてたので、ここで退場することによって、よりビジュアル的に織田軍団がわかりやすくはなります。まー、光秀がどこにいるのか、まだ全然わかんなくはありますが(笑)。