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『軍師官兵衛』 第23話「半兵衛の遺言」

引き続き大事な回だと思うんですよ。だのに、どこもかしこも、ものすごい「つきつめなさ」加減にびっくりする。むしろ、「つきつめなさ」をつきつめているドラマだといえよう(笑)

官兵衛。幽閉生活によって足を悪くしてしまったのと、PTSDみたいなのに苦しんでいたようだけれど、そら確かに落ち込むだろうしダメージはあるだろうけども、長編ドラマの主人公がそれだけじゃいかんだろ、と。いろいろ悔恨とか悲憤、内省とか懐疑とかが生まれるはずなのだが、そこらへんの描写は、サッパリ、ない。

なぜ、苦しむのか。

結果的に無事だったとはいえ、己の判断の誤りで、自らのみならず息子や家をも窮地に追い込んだことに対してではないのか?  純粋まっすぐ君的に「新しい世」教を訴えても、村重を翻意させられなかったことに対してではないのか? 夫の反対を振り切って牢で自分を介抱してくれた(という割には、着替えとか髪・髭の世話などはしてくれなかったようだが笑)だしを救えなかったことに対してではないのか? 自分の、甘さ・青さ・未熟さに憤っているのではないのか?自分のことは許したものの、村重の一族郎党、女子供をも皆殺しにしてしまう信長の無慈悲さに震えはしないのか? 「新しい世」に疑問は持たんのか? 

そのあたりの官兵衛の心情を、みなまで語らなくとも、見ていて伝わるように、胸を打つように描くもんじゃなかろうか? ただなんとなく苦しんで、半兵衛の軍配見るや「シャキーン☆」って、ヲイ。

見守る光さんも同様。ただなんとなく泣きながら帰りを待って、ただなんとなく苦しむ夫に涙して、この人はいったい…。武将の妻として特に賢妻でないことは確かです。美紀様を八重ばりに活躍させんかいゴルァ!!!!

だいたい、「殿の脚はどんどん良くなっておられる」「あとは殿のお気持ちしだい」って、それ、どんなクララだよwww 

村重。幼い子まで含めた一族が眼前で磔刑に処せられ、妻や女たちまでもが。それで「わしは信長には負けん。信長ー!(ジタバタジタバタ)」 ナレ「村重の行方は杳として知れなかった…」 何この幕切れ。

信長タンも言ってたけど、城を枕に討死するのが普通の武士で、家臣や妻子が残ってるのに城を捨てて逃げるなんたァ、武将としてあるまじき振舞なんです。異常行動なんですよ。異常行動に走った人間の心理をテケトーに描くんじゃねー!

それでも脱出までは、まだ、アリでした。わたし的に。田中哲司の演技のたまものといえばそうなんだけど、極限状態でおかしくなってるんだな、ってのが結構リアルに伝わってきた。ただ、あのときは「城で待つ妻子や家臣のために戻る」という「正気」部分もあったよね? それが、その後の、「待っている者がいるのに城には戻らない」、ましてや「待っている者が囚われて死したのに、「自刃もしない、一矢報いるために突撃もしない」って行動。これは、もう、狂気100%なんですよ。

名器の茶碗を投げつけ、雨中に飛び出し、ただ駄々っ子のようにジタバタして信長を呪う姿…哲司の演技は良いんだけど、あれだけで「狂気」を表現したつもりなら、ちゃんちゃらおかしい。その心中に、妻子への愛や申し訳なさは、己への情けなさはあったのか? それでも自分ひとりで逃げる狂気の源は何か? 自己愛か? 生への執着か? 右近や官兵衛ばっかり(笑)頼って優しくしてた、妻への猜疑心か? そーゆーのを描かないとドラマの意味ねーんだよ!!

せっかくこれまで検討してきた村重パートも、まったくの骨抜きに終わってしまった、って話でした。

あと、信タンな。信長。官兵衛は許して村重妻子は許さない…ってのが、この描き方だと、恣意的に見えすぎ。「逃げた村重は卑怯だから妻子を許さない」って論理はいったい何なんだよw 美意識か。武士道か。この信長は謙信か? それとも『葉隠』でも書くのか?www 「生きていた以上、官兵衛親子は許さなければ姫路が背いて面倒なことになる」「これ以上の裏切者が出ないように見せしめ」そーゆー、合理的な理由がほしいんだよ! だいたい、三木は、御着は、本願寺はどーなってる、天下布武はどーなってんだ、戦国まっただなかの西日本の状況はどーなっとんだ。

やつれた岡田くんが、若き日の真田広之のような凄惨な美貌を見せていただけに、残念でなりません。

あ、本日のだしっ子ちゃんはこのドラマ最高峰の美しさでした。だしっ子ちゃんもかなり謎めいた人物で・・・って、これ、褒めてないよw 夫を恨む気持ちはあったのか、それとも自分の浮気心(?)に疚しさが先に立ったのか、道連れになる女子供たちに対して、城主の奥方として申し訳なさは感じてないのか? そういった心情を描くことから大逃亡してる脚本はクソだと思いますけど、今日のような場面で、女を気高く美しく撮ることはものすごく大事ですもんね。桐谷美玲ちゃん、事務所が大きいこともあるし(笑)また時代劇で良い役が巡ってくるでしょう。今度はもっと良い脚本だと良いですね。おつかれさまでした。

そして最後に、

なんで温泉介助係が善助と太兵衛なんだよ!!! 九郎右衛門どこーーーー

ほんっと、わかってない脚本演出です。